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(上編)叔父さんの住む霊界

二十五 霊界の病院

 これは一九一四ねんがつおこった霊夢れいむ記事きじで、霊界れいかいける精神病せいしんびょう患者かんじゃ取扱方とりあつかいかたきてくわしくいてあります。心霊療法しんれいりょうほうでもやろうという人達ひとたち参考さんこうになりそうなところを紹介しょうかいすることにいたします。

 叔父。わし先刻せんこく霊界れいかい精神せいしん病院びょういんひとつを見学けんがくしてたのじゃが……。』

 ワアド。病院びょういんございます? わたしまた霊界れいかいでは病苦びょうくなやむものはないものとおもってりましたが……』

 叔父。『そりャ病苦びょうくなやむというようなことはない。しかし精神こころくもっている患者かんじゃ霊界れいかいにもある。それが手術しゅじゅつようするのじゃ。つまり霊界れいかい病人びょうにんことごと精神病せいしんびょう患者かんじゃの一しゅであるとおもえばよいのじゃ。

病院びょういんわし案内あんないしていろいろ説明せつめいしてくれたのは、地上ちじょうった時代じだい精神病学せいしんびょうがく大家たいかとして有名ゆうめい某博士ぼうはかせであった。

病院びょういんたいへんうつくしい環境かんきょうかれ、一その境内けいだいはいるといかにも平和へいわな、のんびりした空気くうきただようてた。わしがそのこと同行どうこう博士はかせにのべると、博士はかせうのじゃ。──

 「まったくそうです。閑静かんせいな、ひとこころやわらぐる環境かんきょうは一さい精神病せいしんびょう患者かんじゃ取扱とりあつかうにくべからざるだい一の要件ようけんです。」

病院びょういんかこめる庭園ていえんにはいくつもいくつもひろ芝生しばふつくられてあり、所々ところどころもり出来できる。そして何所どこってもさらさらとながるるみずおとがかすかにきこえ、樹々きぎ隙間すきまからは何時いつえざる夕陽ゆうひひかりめられた水面すいめんがちょいちょいのぞく。沢山たくさん患者達かんじゃたちもりをくぐったり、芝生しばふをそぞろあるいたり、また湖面こめんにボートをうかべてあそんだりしてる。

『しばらく美事みごと並木道なみきみちすすんでくと、やがて病院びょういん建物たてものしてた。それは文芸復興期ぶんげいふっこうきしき建物たてもので、正面しょうめんには外橡ヴェランダもうけてあり、周囲しゅういことごと天鳶絨びろうどのような芝生しばふ花壇かだんとでかこまれてた。芝生しばふには沢山たくさん噴水ふんすいやらさまざまの彫像ちょうぞうやらがあった。

不図ふとがつくと其所そこには一人ひとり婦人ふじんひく床几しょうきこしをおろして竪琴ハープいていた。男女だんじょ患者達かんじゃたちはこの周囲しゅうい寝椅子ねいすってて、それによこたわりながら熱心ねっしんみみかたむけるのであった。

『やがて私達わしたち建物たてもの内部ないぶあゆった。此所ここには学校がっこうのような設備せつびがあって、患者かんじゃ大部分だいぶぶんはそれに出席しゅっせきせねばならぬ規定きていになっている。ほか音楽堂おんがくどうがある、劇場げきじょうがある、かく宗派しゅうは附属ふぞく礼拝堂れいはいどうがある、美術展覧会場びじゅつてんらんかいじょうがある。

同行どうこう博士はかせはいろいろわし説明せつめいしてくれた。──

「この病院びょういんもなる目的もくてきひとつはできるだけ患者かんじゃ精神せいしん転換てんかんさせることであります。患者かんじゃ大部分だいぶぶん非常ひじょう利己的りこてきで、すくなくとも自分中心じぶんちゅうしん連中れんちゅうばかり、たいてい信仰上しんこうじょう事柄ことがら過度かどかなしみなどから狂気きちがいになっています。彼等かれら性質せいしつ陰欝いんうつ個所ところ駆除くじょするのには健全けんぜんな、ひとこころやわらぐる性質せいしつ娯楽ごらくが一ばんです。また手術しゅじゅつとしてはしゅとして暗示あんじ催眠術さいみんじゅつ動物磁気どうぶつじきとをもちいます。ひとつその実地じっち御覧ごらんなさい。」

私達わしたちはそれから治療室ちりょうしつのようなところへはいってったが、其所そこでは二人ふたり医師いし一人ひとり婦人患者ふじんかんじゃむかって熱心ねっしん磁気療法じきりょうほうほどこしてた。患者かんじゃ灰白色かいはくしょく衣服いふくをつけ、腰部ようぶを一じょうおびくくってたがそれがこの病院びょういん患者達かんじゃたち正規せいき服装ふくそうなのである。患者かんじゃ寝台しんだいうえよこたわってると、医者いしゃ一人ひとりはその背後うしろって片手かたてかるくその前額ぜんがくて、一人ひとり患者かんじゃ脚下あしもとって、これはれずにる。何方どちら凝乎じっ患者かんじゃかおつめて全精神ぜんせいしんをこめてるらしく、私達わしたちはいってっても側目わきめさえふらなかった。

をつけてると二人ふたり医師いしからだからはかすかな一しゅ光線こうせんほとばしで、それが患者かんじゃ頭部あたま集中しゅうちゅうしているのであった。

『そこをの一しつはいってると、ここでは煩悶はんもんめにしきりにのたうちまわってい一人ひとり男患者おとこかんじゃ一人ひとり女子じょしがヴァイオリンでなぐさめつつあった。わし同行どうこう博士はかせった。──

「ドーも病院びょういんほう私達わたしたちところよりも男女だんじょ交際こうさい自由じゆうのようですナ。」

実際じっさいはそうでもありません。おとこおんなとのあいだにはほとんど交際こうさいなどはありませんが、ただ治療上ちりょうじょう双方そうほうからたすうことが必要ひつようなのです。こと磁気療法じきりょうほうるのには術者じゅつしゃ被術者ひじゅつしゃとが異性いせいであるほう良好りょうこうなる効果こうかそうすることが、実験上じっけんじょうたしかめられたのです。」


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