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(上編)叔父さんの住む霊界

十一 聖者の臨終

 これは二がつ十四自動じどう書記しょきで、霊界れいかいから人間にんげん臨終りんじゅう光景こうけいじつによくえがかれてります。通信者つうしんしゃれい叔父おじさんのLの霊魂れいこんであります。──

かかってたのはわしじゃ。最近さいきんわし人間にんげん臨終りんじゅう実況じっきょう霊界こちらから見物けんぶつしたので、今日きょうはそれをおまえ通信つうしんしてあげる。案内あんないしてくれたのはわし守護神しゅごじんじゃ。何所どことおってったものか途中とちゅうはさっぱりわからないが、かく現場げんじょうのぞんだのじゃ。るとそれは通風つうふうのよいおおきなへやで、さッぱりはしているが、しかし別段べつだん贅沢ぜいたく装飾そうしょくなどはほどこしてない。へや外面そと庭園にわになっている。ただ何分なにぶんふゆじゃからべつ面白おもしろいこともない……。

寝台ねだいうえには七十さいばかりとおもわれる一人ひとり老人ろうじんふせっている。そのひと身分みぶん牧師ぼくしじゃ。するとわし守護神しゅごじん説明せつめいしてくださる。──

「かれは忠実ちゅうじつなるみち奉仕者ほうししゃである。かれが死後しごただちにみちびかるるは信仰しんこう実務じつむとのごう一せる、霊界れいかい最高さいこう境涯きょうがいである。かれは羅馬ろうま旧教きゅうきょう牧師ぼくしとしてこの教区きょうくあずかっている身分みぶんである……。』

不図ふとがつくと室内しつないにはたちまちうるわしき霊魂れいこんたちちてた。それがあとからあとからふえくので、しまいにはへやはいりきれず、庭園にわへまでもあふた。

んな人達ひとたちございます?」 わしはびっくりしてたずねた。

いずれもこのものすくわれた善良ぜんりょう霊魂達みたまたちである」とわし守護神しゅごじんこたえてくださる。「それなる婦人ふじん彼女かのじょは一たん堕落だらくしかけたのであるが、このものみちびきによりてまことみちもどることができた。あれなる愚昧ぐまい少年しょうねんかれは一たん地獄じごくちたのをこのものめにすくされた。あれなる父親ちちおやかれいま一といきで、おのれのむすめ娼婦しょうふむれいやるところであったのを、このものむすめ尼寺あまでられてってくれたばかりにこころやわらいだ。いまでは父子おやこ二人ふたりとも霊界れいかい最高境さいこうきょうたっしてたのしい月日つきひおくってる。これ霊魂れいこんたちみなれて、ちちでありまたともであるこのものむかえるべくまいったのじゃ。」

『そう守護神しゅごじん説明せつめいしてくだすっている最中さいちゅうに、これ霊魂れいこんたちよりも一だんすぐれてうるわしくひかりかがやくなにものかが室内しつないあらわれた。

ひざまずいて!」と守護神しゅごじんわしおしえてくださる。

わしひざまずくと同時どうじへやあふれた霊魂れいこんたちもことごとく拝跪はいきれいをとった。

何誰どなたございます?」とわし低声こごえたずねる。

「この御方おかたがこの教区きょうく司配者しはいしゃ天使てんしであらせられる。わざわざおむかえのめにおましになられたのじゃ。をつけてるがよい。」

『すると、きわめてしずかに牧師ぼくしからだから一じょう光線こうせんけてた。頭部あたまへんが一ばんよくひかる。いろ金色こんじきちかいが、ただ幾分いくぶん青味あおみびている。そうするうちみぎひかり次第しだい次第しだい凝集ぎょうしゅうして、かしらとなり、かたとなり、いつしか一光明体こうみょうたいにく被物おおいなかからした。最初さいしょはうっすりしていたが、やがて輪廓りんかくがくっきりしてた。同時どうじいく百ともれぬ満座まんざ霊魂れいこんたちくちから歓喜かんきこえあふれた。

万歳ばんざい万歳ばんざい! 一どうむかえいたします!」

『すると老牧師ろうぼくしは一どうむかってにっこりしたが、イヤその笑顔えがお晴々はればれしさ! 躯全体からだぜんたいみかがやくかとうたがわれた。老牧師ろうぼくし霊魂れいこん寝台しんだいそば看護かんごろうりつつあった地上ちじょう人達ひとたちむかっても同様どうよう笑顔えがおせてその幸福こうふくいのるのであった。

『やがてからだ霊魂みたまとをつなぐほのうひも次第しだいびて、ついにプッリ! とれてしまった。同時どうじ看護かんご人達ひとたちはワッとばかりきくずれたが、その泣声なきごえ霊魂れいこんたちむれからどッと破裂はれつするよろこびのうたにかきされてしまった。と、おむかえの天使てんし老牧師ろうぼくしってわれた。──

なんじいみじきものよ、なんじはよくも地上ちじょうのあわれなるもののめにつくした。なんじむかってなんじ生前せいぜん救済きゅうさいをのべたるすべてのものの司配しはいゆだねるであろう。」

いもおわらず、また満座まんざ霊魂れいこんむれからおこった歓呼かんこ喝采かっさい! そのひびきはいまだにわしみみのこっている。

もなくへや附近ふきんからすべての姿すがたえて、あとにはただわしと、守護神しゅごじんと、二三の哀悼者あいとうしゃのみがのこったが、イヤじつなんともわれぬ結構けっこう光景こうけいで、其所そこったときわしむねもうれしさにおどったのである。

今日きょうわし通信つうしんはこれでおわりじゃ。今晩こんばん仕事しごと手伝てつだいをしてくれた五にん人達ひとたちにはわしからあつくおれいをのべてく。いずまた……。』

 叔父おじさんの通信つうしんに五にんとあるのは、K夫妻ふさい、S夫妻ふさいならびにワアド夫人ふじんのことをしてるのでした。


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