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(上編)叔父さんの住む霊界

十 霊界の図表

『われわれの趣味しゅみ道楽どうらくはざッとみぎべたとおりじゃが』と叔父おじさんは言葉ことばをつづけました。『本業ほんぎょう精神こころ修養しゅうようとなると中々なかなかかましい。精神こころ修養しゅやうには宗教しゅうきょう問題もんだい必然的ひつぜんてきともなってる。われわれ半信仰はんしんこう境涯きょうがいるものには、宗教的しゅうきょうてき色彩しきさいすこぶ曖昧あいまいである。それを充分じゅうぶん見分みわけるだけの能力のうりょくそなわっていないからである。が、一たんうえ境涯きょうがいすすると宗派的しゅうはてき色彩しきさいたいへん鮮明せんめいになってる。いつかも説明せつめいしたとおり、真理しんりというものは多角たかく多面ためんのダイヤモンドで、それぞれのめんにそれぞれの真理しんりがある。その一めん真理しんりをつかんでるのがひとつの宗教しゅうきょうであるから、だれしもひとつの宗教しゅうきょうはられ、それを土台どだいとして方面ほうめん真理しんり吸収きゅうしゅうすすんでくのが順序じゅんじょであるらしい。

『が、宗教しゅうきょう宗派しゅうは異同いどう封立たいりつようするに途中とちゅうの一階梯かいていで、けっして最終さいしゅう目的もくてきではないらしい。人間にんげん発達はったつするにれて真理しんり見判みわかた厳密げんみつになる。ひとつの宗教しゅうきょう生命せいめいたる真理しんり部分ぶぶんだけは保存ほぞんされるが、誤謬ごびゅう個所かしょ次第しだいおとされてく。最後さいご到達とうたつするのがかみであるが、かみ真理しんりそのものである。

結局けっきょく霊界れいかい最高部さいこうぶたっするとふたた宗教しゅうきょう異同いどうなどは問題もんだいでなくなってる。一ぺん宗教しゅうきょうはいることが必要ひつようであると同時どうじ最後さいご宗教しゅうきょうから超越ちょうえつすることが必要ひつようなのである。宣教せんきょうめに地獄じごくほうくだってくものは宗教しゅうきょう超越ちょうえつするところまでたっした霊魂れいこんでなければならない。イヤ霊界れいかい最高部さいこうぶのものでもまだ充分じゅうぶんでない。それっと地獄じごく入口いりくち学校がっこうところまでしかくだることをゆるされない。地獄じごくのドンぞこまでも平気へいき宣教せんきょうめにりてくのは光明こうみょう赫灼かくしゃくたる天使達てんしたちで、それは霊界れいかいよりずッとうえかいから派遣はけんされるのである。霊界れいかいのものがあま地獄じごくふかいところまでくだるのは危険きけんである。地獄じごく学校がっこうってさえも、現世的げんせてき引力いんりょくがなかなかつよく、そのめに自分じぶん進歩しんぽ何年間なんねんかんかフイにしてしまうのである。

学校がっこう大別たいべつして成人組せいじんぐみ幼年組ようねんぐみとの二種類しゅるいわかれる。幼年組ようねんぐみというものは、夭折ようせつして何事なにごとまななかった幼児達ようじたち収容しゅうようする場所ばしょで、科目かもくしゅとして信仰しんこうかんする事柄ことがらばかりである。霊界れいかいでは読書どくしょ作文さくぶん稽古けいこまった不必要ふひつようで、そんなものは人間界にんげんかいとは正反対せいはんたいに、純然じゅんぜんたる娯楽ごらくぞくする。』

 ワアド。幼年組ようねんぐみ教師せんせいは?』

 叔父。『それには霊界れいかい最高部さいこうぶ婦人達ふじんたちなかで、生前せいぜん育児いくじ経験けいけんたなかったものがえらされるのじゃ。うして彼等かれら婦人ふじんだい本能ほんのうたる母性愛ぼせいあい満足まんぞくもとめる。そのほか生前せいぜん教師きょうしであったもの、牧師ぼくしであったものもよく出掛でかけてく。ときとすると、ッたきりながなが歳月としつきあいだ、まるでもどらずにるものもある。霊界れいかいではひとおしえるのは一の道楽どうらくであって、けっして業務ぎょうむではないのである。

最後さいごわしはくれぐれもことわってくが、わしがおまえせたあの霊界れいかい図表ずひょうけっして固定的こていてきのものではない。地上ちじょうにも相当そうとう流轉るてんはあるが、霊界れいかいほうでは尚更なおさらそうである。てつ鋳型いがたにはめたようにあれッきりつくりつけになっているとおもわれてはおおいこまる。──わし大概たいがいこれで説明せつめいするだけのことは説明せつめいしたとおもうが、なんぞおまえほうきたいことがあるかナ?』

 ワアド。『あなたは先刻せんこく成人組せいじんぐみッしゃいましたが、そこではなにおしえるのです?』

 叔父。信仰しんこう問題もんだいかんして大体だいたい観念かんねんやしなってやるところじゃ。其所そこるものはただぼんやりと信仰しんこうでもしてようかしらぐらいかんがえている連中れんちゅうぎない。彼等かれらには生前せいぜんおかした罪悪ざいあく光景こうけいうつっても、なぜそれが罪悪ざいあくであるかがはっきりちない。信仰しんこうにかけてはまるであかぼうなのじゃ。』

 ワアド。『それなら何故なぜ幼年組ようねんぐみ別々べつべつおしえるものです?』

 叔父。『それはあたまえではないか。信仰上しんこうじょうまた道徳上どうとくじょう知識ちしきけているというてんおいては双方そうほうたりったりであるが、一ぽう何等なんら罪穢つみけがれのないあかぼう他方たほうわることならなに心得こころえているすれッからし、その取扱方とりあつかいかた自然しぜんちがおうとうものじゃ。──今日きょうはこれだけ……。いずれまた出掛でかけてる………。』


十 霊界の図表 (中)

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