心霊図書館 ≫「死後の世界」≫ 上編

(上編)叔父さんの住む霊界

十 霊界の図表

 叔父おじさんはみぎあらわれた霊界れいかい図表ずひょうしながら熱心ねっしん説明せつめいをつづけました。──

『もちろんこれはおおよその図面ずめんであって、できだけ簡単かんたんにしてあるから、ちいさい宗派しゅうはなどはひとつもせてはない。しかしこれでもをつけてれば余程よほどがかりにはなるであろう。

うまでもなくしめしてあるのは状態じょうたい区別くべつであって場所ばしょ区別くべつではない。おまえもすでにっているとおり、霊界れいかい場所ばしょ区別くべつなどは全然ぜんぜんいからナ。それから宗派しゅうはなどは実際じっさいたいへんんでるもので、なかなか簡単かんたんあらはせはしない。たとえば回々ふいふいきょう神秘派しんぴは教理きょうりあきらかに万有神教ばんゆうしんきょう類似点るいじてんゆうし、またモルモンきょうが回々ふいふいきょうと一致点ちてん多量たりょうっているのるいじゃ。そんな個所ところるもののほう適宜てきぎ取捨しゅしゃ判断はんだんしてもらわねばならぬ。

『これと同様どうように、われわれ霊界れいかい居住者きょじゅうしゃとてただ一個所かしょかじりついてばかりはない。必要ひつようおうじてあちこち移動いどうする。たとえばれい陸軍りくぐん士官しかんなどはたいていは半信仰はんしんこうきょうだいるが、ときとすればちょいちょいだいにもかおす。

わしなどは現在げんざいしゅとしてだいほうる。私がだいたのは、自分じぶん心持こころもちでは何年なんねん滞在たいざいしたようにかんじられたが、人間界にんげんかい時間じかんにすればたッた四五日位にちぐらいのものであった。

『ところで、ここひと是非ぜひとも注意ちゅういしてもらわねばならんことは、霊界れいかい仕事しごと人間界にんげんかい仕事しごととがあべこべになっていることじゃ。霊界れいかい仕事しごとというのはつまり精神こころ修養しゅうようで、あそびというのが人間界にんげんかい所謂いわゆる業務ぎょうむ相当そうとうする。われわれ肉体にくたいのなくなったものは衣食住いしょくじゅう其他そのたさい物質的ぶっしってき問題もんだい関与かんよする必要ひつようがなくなっている。しかし道楽どうらくでわれわれは、自分じぶん同一どういつ趣味しゅみ同一どういつ職業しょくぎょう地上ちじょう人間にんげん交通こうつう接触せっしょくし、たのまれもせぬくせにその手伝てつだいをしたりなにかする。もちろん道楽どうらくでやるのであるから宗派しゅうは異同いどうだの、信仰しんこう有無うむだのには一こう頓着とんちゃくしない。こいつもひと図面ずめんせることにしよう。』

 またもやワアドにはえがかれた別図べつずあらわれました。叔父おじさんはそれをながらしきりに説明せつめいをすすめる。──

たとえばわし建築けんちく趣味しゅみっているとする。一人ひとり彫刻家ちょうこくかがあって、そのひとまたべつ見地けんちから建築けんちく趣味しゅみゆうするものとすれば、わしみぎ彫刻家ちょうこくかとは、建築けんちくという共通点きょうつうてん交通こうつうひらくことになる。──ざっとそうった関係かんけいから霊界れいかい人間界にんげんかいとのあいだにも交通こうつうひらけてこうというものじゃ。

『おまえにはモーわし言葉ことば意味いみがよくわかったようであるから説明せつめいはこのへんげてくが、かくんな塩梅式あんばいしきで、霊界れいかいてたッたひとつの仕事しごとにしか趣味しゅみたないものははなは知己ちきすくないことになる。趣味しゅみというものはなかなか難有ありがたいもので、たとえ宗教上しゅうきゅうじょうにはまるきり相違そういした見解けんかいっているものでも、趣味しゅみのおかげでいくらでも接触せっしょくすることができる。道楽どうらくもきれいな道楽どうらくならばけっしてわるくはないが、女道楽おんなどうらく酒道楽さけどうらく──そんな慾望よくぼう相互そうご共通点きょうつうてんとして交通こうつうすることになると所謂いわゆる魔道まどうちて地獄じごく御厄介ごやっかいにならなければならない。そんなはなし陸軍りくぐん士官しかんのおのもので、いず奇譚きだんしゅつするであろう。わし道楽どうらくはせいぜい建築けんちく道楽どうらく将棋しょうぎ道楽どうらくぐらいのものであるから、あっさりしているかわりに現代式げんだいしき強烈きょうれつ刺戟しげきはない……。』


十 霊界の図表 (上)

目  次

十 霊界の図表 (下)


心霊図書館: 連絡先