心霊図書館 ≫「死後の世界」≫ 上編

(上編)叔父さんの住む霊界

六 霊界の分野

 みぎ自動じどう書記しょききつづいて今度こんど霊夢式れいむしき現象げんしょうおこ叔父おじさんから今後こんごおくらるべき通信つうしん内容ないようにつきてこまごま説明せつめいがありました。それは一九一四ねんがつ二十六にちばん出来事できごとであります。──

 叔父。今回こんかい私達わしたち自動じどう書記しょきをはじめたのは大当おおあたりじゃった。これから自動じどう書記しょきつづもの通信つうしんおくって、一つ霊界れいかい生活せいかつにつきてまとまった記事きじつくらせることにしよう。段々だんだんしらべてると、いままでりふれた霊界れいかい通信つうしん兎角とかく当人とうにん直接ちょくせつ見聞けんぶんした体験たいけんのみにへんしてるようじゃ。わし意見いけんはそれとちがって、自分じぶん体験たいけんほか自分じぶんうえるものやしたるものの体験たいけんだんをもくわえて発表はっぴょうしたらとおもうのじゃ。そうすればすくなくとも三つの境涯きょうがい事情じじょうわかることになる。わし友達ともだち近頃ちかごろうえ境涯きょうがいにのぼったものがあるが、そのひとさらに一だんうえ境涯きょうがいとも接触せっしょくたもつつもりじゃというから、多少たしょうそこいらまでびないものでもあるまい。そうすると霊界れいかい地理書ちりしょ………もちっ可笑おかしいが、ざっとそうった種類しゅるいのものが出来できあがることになるであろう。もちろんわし自身じしん死後しご経験けいけんくわしくべる。一たいんだときには、さっぱりわけわからぬことだらけであったが、そののちわし守護神しゅごじんみちびかれて地上ちじょうかけ、他人たにんぬる実況じっきょう霊界こちらから見物けんぶつしたので、近頃ちかごろ大分だいぶ勝手かってわかってた……。

『ところで霊界れいかい配置はいちじゃが、だんだんしらべてると大分だいぶ在来ざいらい説明せつめいとは相違そういてんがある。ただしむかしの教典きょうてん間違まちがってるというよりも、教師達きょうしたち解釈かいしゃく仕方しかた間違まちがってるのがおおいようじゃ。そのなかで一ばんすぐれたものでも、つと真理しんりの一めんつかたぐらいのものにぎない。われわれじゃとて、むろん一さい真理しんりつかたというわけではない。真理しんりというものは多角たかく多面ためんのダイヤモンドそっくりで、それぞれのめん真理しんりの一部分ぶぶんっているにぎない。またそのめんにはおおきいのとちいさいのとがある。で、どんなちいさい教理きょうりでも真理しんりの一めんってさえすれば生存せいぞんえるが、ただ真理しんり要素ようそがまるでけて信仰しんこうは、とても存在そんざいない。ろうことなら其面そのめんおおきいにかぎる。世界せかい宗派しゅうはなかで、羅馬ろうま旧教きゅうきょうなどは一ばん真理しんりめんおおきいほうじゃが、あれにもけっして一さい真理しんりふくまれてはいない。霊界れいかいには仏教徒ぶっきょうとる。沢山たくさん異教徒いきょうとる。そのほかありとあらゆる宗教しゅうきょう信者しんじゃる。われわれはこんな宗派しゅうはかぶれの境涯きょうがいから脱却だっきゃくして一さい真理しんり肚裏はらおさめることがきたときに、はじめて本当ほんとうかみ思召おぼしめしわかったといいるのじゃが、それは前途ぜんとなかなか遼遠りょうえんじゃ。

『が、わしあつめた新材料しんざいりょうくのにも、在来ざいらい学説がくせつめたほう理会りかいやすかろうとおもわれるから、わし大体だいたいおい天国ヘヴン煉獄パアゲトリ地獄ヘル概念がいねん採用さいようすることにしよう。しかしおおくの人達ひとたちくところとわしのとは大分だいぶ文字もじ用法ようほうちがうから、そのつもりでてもらいたい。おおざっぱな説明せつめいをするには、在来ざいらい分類法ぶんるいほう便利べんりてんもないではないが、わしかぎり、地獄じごく永久的えいきゅうてきのものだという証拠しょうこすこしも見出みいだない。一はやくこのかんがえてるにくはない。一たんこのかんがえてるとともに、爾余じよ問題もんだいわかやすくなる。無論むろん地獄じごくというところにはたいへんながめられている霊魂れいこんがあるにはある。たとえば羅馬ろうまのネロなどはげんいまでも地獄じごくる。そして今後こんごもなかなかられそうにもない。

『しかし地獄じごくから脱出ぬけだした実例じつれいとしては、げん先般せんぱんまえ紹介しょうかいしたあの陸軍りくぐん士官しかんがある。それをても地獄じごく永久えいきゅう呵責かしゃく場所ばしょでないことはたしかである。ただ地上ちじょう人間にんげん交通こうつうする大概たいがい霊魂れいこんは、地獄じごくった経験けいけんいので、ほとんど地獄じごく状況じょうきょうくものがない。おおくのものはその存在そんざいさえもらない。陸軍りくぐん士官しかん物語ものがたりがすてきに面白おもしろいのはしゅとしてこのてんそんする。まだわしくわしいことはきかないからよくわからぬが、地獄じごくというものは、つまり無信仰者むしんこうしゃはいってるところとおもえばいようじゃ。また煉獄れんごくというのはつまりわれわれの境涯きょうがいしてる。何等なんら信仰しんこうひらめきがなければ地獄じごくにやられるが、多少たしょうなりともおひかりせっしたものはわれわれの境涯きょうがいはいってる。キリストはわざわざ地獄じごくりて、霊魂れいこんたち信仰しんこうおしえたというが、るほどそんなこともあったろう。いまでも高級こうきゅう霊魂れいこんは、宣教せんきょうのためにわざわざ地獄じごくりてかれる。

『それから天国てんごくじゃが、われわれには残念ざんねんながらそちらのことはまだ一こうわからない。天国てんごく上帝じょうていともるところ──そうおもってれば現在げんざいのわれわれには充分じゅうぶんである。わしなどは煉獄れんごく最下層さいかそううえであるのだから、其所そこたっするまでの道中どうちゅうはまだまだながい……。』


五 無名の陸軍士官

目  次

六 霊界の分野 (下)


心霊図書館: 連絡先