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(上編)叔父さんの住む霊界

三 自動書記の開始

 一週間しゅうかんときまって規則 きそくやぶり、叔父おじ さんのL突然とつぜんその くる二十ばん にもまたあらわれました。

 叔父。『またやってたがネ、今晩こんばん はホンのちょっとのじゃ。じつはお まえ自動じどう書記しょき たのみにたのじゃ。 わし霊界こちらでPという人物じんぶつ 邂逅であったが、そのおとこ 自動じどう書記しょきをしてはどうかと わしすすめるのじゃ。Pは生前せいぜん シェッフィールドにんでたそうで、その ころ自動じどう書記しょき 経験けいけんがあるそうな。んでも きている人間にんげん通信 つうしんをやるには、ゆめよりもこのしきほうがずっと具合ぐあいがよいというので、それをわし伝授でんじゅする約束やくそくになってる。なかなか人柄ひとがらおとこで、わし交際つきあってもよいとおもつとる。』

 ワアド。じつわたし 自動じどう書記しょきならら一二度試 どためしたことがあります。しかし成績せいせき るかったです。』

 叔父。何時いつそんなことを ったのかい? わしんでからかいナ?』

 ワアド。『イヤそのすこまえです。』

 叔父。だまされたとおもってモ一 度行どやっててお れ。わしなり多忙 たぼうじゃが、きっとわすれないでその とき ます。カアリィにはよろしくっておくれ……』

 これっきりでゆめえて しまいましたが、そのばんワアド 突然とつぜん自動的じどうてき ぎの文句もんく きました。――

約束やくそくどお わした。Pさんが わしたすけてくれている。 ってると自動じどう 書記しょきあま容易やさし くはない。うまくめればよいが……。今晩こんばん はこれだけにしておく。左様さようなら………。』

 自動じどう書記しょきは二 がつ二十二にちばん にもおこなわれました。最初さいしょ一二 かいなかば恍惚こうこつ 状態じょうたいでありましたが、 もなくワアドはすっかり意識いしき うしなうようになりました。

 ワアドはそれをはじめる まえに、ず二三の質問しつもん いてきます。すると これたいする返答へんじ 何時いつにか自動的 じどうてきかれてり、 自分じぶん覚醒後かくせいごにそれを んでおおいにびっくりするという始末しまつ であります。

 ワアド最初さいしょ叔父 おじさんに提出ていしゅつした質問しつもん の三箇条かじょうでした。――

 一、あなたは生前せいぜん好物こうぶつ 将棋チェスその娯楽 ごらくれなくなって御不自由 ごふじゅうではありませんか?

 二、あなたの世界せかいには階級的 かいきゅうてき差別さべつがありますか?

 三、あなたは祖先そせん親戚 しんせきまた歴史上れきしじょう 知名ちめい人物じんぶつにお いでしたか?

 いかにも初心しょしんもの提出 ていしゅつしそうな、つみのない質問 しつもんばかりであります。これたい してぎの返答へんじ あらわれました。――

わし霊界れいかい てからも将棋チェス ってるからっとも不自由 ふじゆうはしない。肉体にくたい熟練 じゅくれんようする遊戯ゆうぎ ならこちらではきない、からだ いから……。しかし精神的せいしんてきのものはいくらでも きる。将棋チェス全然ぜんぜん 精神的せいしんてき娯楽ごらくであるから、 こころでそれをるのになん 差閊さしつかえもない。げん わしいまいま までラスカアと将棋チェスって た。勝負しょうぶ先方むこう たれたが、しかしなかなか面白おもしろ 取組とりくみじゃった。

『一たい霊界れいかい るものはみな肉体にくたい 娯楽ごらく必要ひつようとしない。必要 ひつようかんじたところでゆる されもしない。にく快楽かいらく わかものには必要ひつよう じゃが、われわれ老人ろうじんぬるずっと 以前いぜんから、たいていそんな ことにはいてる。 あまりにそんな真似まねをしたがると制裁 せいさいまぬがれない。さいわ わしんだ ときはもうんで たし、それに元来がんらいその しゅたのしみには割合わりあい 淡泊たんぱく資質たちであった。

ぎにだい二の質問 しつもんであるが、もちろん階級かいきゅうというような制度 せいど霊界れいかいには い。が、教育きょういく有無うむ階級 かいきゅうらしい差別さべつ自然しぜん つくる。教育きょういく 行届ゆきとどいた上流じょうりゅう人達 ひとたちは、兎角とかく無教育むきょういく 貧乏人びんぼうにんたちとは一 しょになろうとしない。

『それからだい三の質問しつもん……。これは 当分とうぶんあずかりじゃ。 いずれこのぎに……』

 ここに一ごん註釈 ちゅうしゃくしてかねばならんのは、叔父おじ さんの言葉ことばなか たラスカアという人物じんぶつ です。あとしらべて ると、この人物じんぶつはまだ きてることが判明はんめい しました。で、後日ごじつワアドがその むね叔父おじただ すと、きて ひと霊魂れいこん睡眠中すいみんちゅう にいくらでも霊界れいかいはい るもので、ただめてからそれを記憶きおくせぬだけの ことだという返答へんじでした。心霊しんれい問題もんだいこころせるものの見逃みのがしがたてんでありましょう。


二 規則の異った世界(下)

目  次

四 信仰の意義


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