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(上編)叔父さんの住む霊界

二 規則の異った世界

 叔父おじさんの霊界れいかい説明せつめいがワアドわかったようでなかなかわからない。で、さらねんしました。――

 ワアド。『してると霊界れいかい状態じょうたい永久えいきゅう不変ふへんなのですか? それともだんだん友達ともだちえ、それにれて過去かこのイヤな記憶きおく……思想しそうかたちとおざかってくのですか?』

 叔父。『このまえにも説明せつめいしたとおり、むろん霊界れいかい状態じょうたい不変ふへんなものではない。われわれの信仰心しんこうしんくわわるにれて、周囲しゅうい状態じょうたいはズンズン改善かいぜんされてくのじゃ。何故なぜ過去かこのイヤな記憶きおく次第しだいとおざかってくのかはわたしにもまだよくわからない。が、かくわれわれがこちらへてから次第しだい高尚こうしょう思想しそう創造つくってくと、それがわれわれのこころて、不思議ふしぎ旧悪きゅうあく苦痛くつう緩和かんわしてくことになる。人間にんげんには自分じぶんをあざむくことがきるが、霊界れいかい居住者きょじゅうしゃにはそれができない。

『イヤ最初さいしょ霊界れいかいときには、まるきり悪夢あくむているようで、一生涯しょうがいげた自分じぶん旧悪きゅうあくことごとかたちをなして雲霞うんかごと身辺しんぺんりまいたものじゃった。が、しばらくぎるとそれのものにキチンと整理せいり出来できた。わたしにはその理窟りくつすこしもわからないが、かく以前いぜんよりもしのぎよくなってた。――イヤこちら へてからわしにはまだわからぬことばかり、先日来せんじつらいまえ説明せつめいしてきかせたものだって、みなわし教師せんせいから最近さいきんおそわったことばかりじゃ……。』

 ワアド。とき叔父おじさん、あなたはどんな方法ほうほうもちいてわたしのところへおでなさいます?』

 叔父。方法ほうほうってべつにありャしない。ただおまえのことをおもえばよいのじゃ。もっとくわしく説明せつめいすると、わし精神せいしんをおまえ一人ひとりあつめ、ほかかんがえを一切棄さいすててしまうのじゃ。最初さいしょはなかなかにく仕事しごとであったが、近頃ちかごろはもうおのものじゃ。こちらはそれでよいが六ヶ敷むずかしいのはおまえ精神せいしんわし精神せいしん調子ちょうしわさせることで、それがきないと結局けっきょく通信つうしんきない。わし最初さいしょほか人達ひとたちにもいろいろってた。カアリィにも、Hにも、それからFにもためしたのだが、どいつもこいつもみなうまくかない。最後さいごにおまえならばと目星めぼしをつけたのだ。』

 ワアド。『そうすると、あなたはこの世界せかいにおでになって、私達わたしたちのように何彼なにか御覧ごらんなさるのですネ。』

 叔父。『この世界せかいることはるが、しかしなにもこの世界せかいにのみはかぎられない。また前達まえたちとはもの見方みかたちがう。われわれには過去かこえる。修行しゅぎょうんだものには未来みらいまでもえる。もっとわしにはまだそれはきないがね。――げんにおまえだとて、わしぬる一箇月かげつぜんわしぬる実況じっきょうゆめたではないか。――イヤしかし今日きょうはおまえ大分だいぶくたびれたろう。それともまだ質問しつもんのこってるかナ?』

 ワアド。『はァ御座ございます。あなたは人間にんげん劣情れつじょうのあることをっしゃいましたが、なにかその劣情れつじょう挑発ちょうはつする悪魔あくまでもあるものでしょうか?』

 叔父。『それはまだわしにもわからん。現世げんせきて時分じぶんわしはもちろん悪魔あくまなどがあるとはおもわなかった。しかしんでからはじめてしんずるようになったことも沢山たくさんあるから、ことによると悪魔あくま存在そんざいせぬともかぎるまいが、それは後日ごじつ問題もんだいにしよう……。』

 ワアド。何故なぜあなたの教師せんせいにそれをおたずねしないのです?』

 叔父。『そうなにも一にはかない。おまえじゃとて、一人ひとり小供こどもにユークリッドをおしえて最中さいちゅうに、突然とつぜん歴史れきし質問しつもんをされたらどうします? 霊界れいかいでもそれにかわりはない。おそわることが沢山たくさんなので一ぺんにはかれはせぬ。』

 ワアド。わたしりては、叔父おじさんがうしておでくださるのはたいへんありがたいですが、叔父おじさんのほうでは何故なぜわたしのところへおでなさるのです?』

 叔父。『一つはおまえきなせいじゃ。――が、なによりもわしは少しなりとも他人ひと利益ためになることをしたいのじゃ。霊界れいかい他人たにんたすけるのはけっして容易よういなことではない。わしきてときにモすこことをしておけばよかった。カアリィには格別かくべつまえからくわしくつたえてくれ。一ばんカアリィがわし理解りかいしててくれる。よくには彼女あれ対話はなしをしてたいがきないからいたかたがない。――おまえ大分だいぶつかれてたネ……。いずまたおう。いずれまた……。』

 ワアドはそれっきりぐっすり睡込ねこんで、翌朝よくあさまでなにらずにったのでした。


二 規則の異った世界(上)

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