心霊図書館 ≫「死後の世界」≫ 上編

(上編)叔父さんの住む霊界

一 誕生日と命日

 叔父おじさんのほうではわかったことであっても、ほうになると疑問ぎもんしゅつで、はなしはそれからそれへとつづきました。

 ワアド。『あなたは只今ただいまうえくみっしゃいましたが、それはんなところでございます?』

 叔父。『それは信仰心しんこうしんはあっても、行状おこないがそれにともなわぬ連中れんちゅう境涯ところじゃ。』

 ワアド。『すると、天国てんごく地獄じごく煉獄れんごくなどというものは、あれは実際じっさい存在そんざいするのでございますか?』

 叔父。『さァ地獄じごく有無うむはまだいまわしにはわからない。現在げんざいわしわかってるのは自分じぶんくみと、自分じぶんより上下うえしたくみだけじゃ。じつ霊界こちらときに、むかしの友達ともだちえるだろうと予期よきしてたのじゃが、まだはれないものが沢山たくさんある。が、もちろん霊界こちらないのではなく、ただほかくみはいってるだけのことらしい。純然じゅんぜんたる未信者みしんじゃみなしたくみる。そしてしばらくてばその連中れんちゅう私達わしたち境涯ところあがってる。

『それからあの煉獄れんごくじゃが、あれは大体だいたい自分じぶんたち境地ところしてってるものらしい。しかし煉獄れんごくはむしろ勉強べんきょう場所ばしょであって、刑罰けいばつ場所ばしょではないようじゃ。もっともいくらか刑罰けいばつ気味きみもないではない。生前せいぜんくだらなく時間じかんついやしたことが霊界こちらてからくやまれる。――それが刑罰けいばつといえば刑罰けいばつ相違そういない。それから不思議ふしぎなことには、私達わしたち仲間なかま多数おおぜいるくせに、なにやら心寂こころさびしくかんぜられてし ょうがない。どうもあまりおたがい同志どうし似寄によりすぎてると、相手あいてにして面白味おもしろみがないものらしい。で、わしは一はやほかくみはいって、むかし友達ともだちいたさに、いませッせと勉強べんきょうしてるところじゃが、なかなかおもうように進歩しんぽせぬにはよわっとる。現在げんざいわしはまるきり小学校しょうがっこう生徒せいとさんじゃ。――それはそうとわし誕生日たんじょうび月曜日げつようびで、んだのも月曜日げつようびであった。ぬることはつまり霊界れいかいまれることじゃ。してると月曜日げつようび何所どこまでってもわし誕生日たんじょうび相違そういない……。』

 ワアド。叔父おじさん、あなたは御自分ごじぶん葬式そうしきのことを御存ごぞんじでございますか?』

 叔父。『そりャってます。わし自分じぶんからだ寝台しんだいうえよこたわってるのをました。あのときはおまえわし屍骸しがいのぞきにてくれたネ……。

 『ときに、これだけはけっしてわすれずにカアリィに言伝ことづてしてもらいたい。――きてとき信仰心しんこうしんってると、んでから進歩しんぽはやいのでたいへんたすかると……。よくにはわしなどもモすこ信仰心しんこうしんがあればよかった。』

 ワアド。叔父おじさん、あなたはモ一現世げんせもど思召おぼしめしございませんか、もどれるものなら……。』

 叔父。『それはい! 霊界こちらほう余程よほど面白おもしろい。毎日まいにち毎日まいにち進歩しんぽしてるもの……。イヤわしはもうかえらなければならぬ。わしはモ一学校がっこうをやりなおすので、たいへん多忙たぼうじゃ。うかうかあそんでばかりはられない……。』

 いうまでもありませんが、この時分じぶん叔父おじさんの霊界れいかい知識ちしきすこぶ幼稚ようちなものであり、同時どうじにワアド質問しつもんぶりも素人しろうと臭味しゅうみがたっぷりで、おぼえず失笑しっしょうさせられるところがあります。地獄じごく有無うむ問題もんだいなどはのちおい充分じゅうぶん修正しゅうせいされてあります。


一 誕生日と命日 (上)

目  次

二 規則の異った世界(上)


心霊図書館: 連絡先