心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第五巻

ひやかしくら

 △現代世相の顕著なる特色の一つはひやかし気分の旺盛なことではあるまいか。真面目に正面からものを見つめて是非の判断を下すようなことは一向流行はやらなくなり、鼻のさきでフフンと軽くあしらって、小楊枝式の皮肉でもあびせて置くことが気のきいた人間のるべきことと考えられて来たようだ。

 △政治家もこの手でオモチャにされ、学者もこの手で愚物あつかいを受け、実業家もこの手で器量をわるくして居る。むかしはひやかされるものはず心霊研究者位に限られて居たものだが、ドーも近頃火の手が拡がって来たようだ。

 △何故なぜこんな傾向が発生したかというに、この理由は比較的簡単だと思う。外でもない、それは一般に信用程度の薄らいだことを意味する。「あいつうわべはいかにも殊勝らしくしているが、内々何をしているか判るものでない。」そう言った内面の疑惑がひやかしの態度となって表面に現われて来たのであろう。

 △われわれは大にこの傾向を歓迎すべきだと思う。何となればひやかしは世のニセ物、マヤカシ物等に対して一の緩和な陶汰作用を営むものであるから………。実際他から少々ひやかされて亡びる位のものならさっさと亡びてしまった方がよっぽど人助けになる。

 △其所そこへ行くと心霊研究者ははなはだ心強いと言わねばならぬ。何となれば半世紀以上にわたりて全世界のひやかしをまともに受けて来ながら今に及びて意気ますます揚るものがあるから……。この分で行けば真先まっさきに全世界から真面目な眼で見られるものはあるいは心霊研究であるかも知れない。(憑、三、六、三)


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第五巻第七号

発行: 1927(昭和3)年7月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 入力:いさお      2009年4月12日

※ 公開:新かな版    2009年5月20日


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