心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第五巻

昭和三年を迎う

 △諒闇が明くると共に歳もまた改まり、ドウやら今年から真の昭和時代という気分がするように感じられます。考えて見ると一代の人心の転換というものはまことに不思議な径路を取るもので、何所にその真因を求むべきかちょっと見当が取れ兼ねます。

 △兎に角日本国も日本国民も恐らく今年あたりから一の新らしい潮流に乗ってきへきへと押し進めらるることでしょう。そうした兆候はあきらかに政治界にも見えます。経済界にも見えます。眠ったような宗教界や教育界にさえもいくらかその気分が見えないでもない。

 △が、何と申したところで正に来らんとする新時代の動きがず心霊の世界に現わるべきは争われませぬ敏活な霊的波動が次第に鈍重な物質の上へと移って行く――それが発展の順序であります。われわれは日一日と多忙なる時運の到来を今から覚悟して居るべきであります。

 △更に飜って広く世界を見渡しますと尚更なおさらその感を深うします。気早な霊能者連が、何年も前から世界的大転換大変動の目標として睨みつめて居た一九二八年――それがその昭和三年です。彼等の予想の実現と否とは全然エ ックスでありますが、其所そこに鬱勃たる何物かの伏在は疑うの余地がありませぬ。

 △由来焦燥は事をあやまり、盲動は真の進歩の大敵であります。多事多忙なる新時代の到来を覚悟するにつけてもわれわれは特に堅忍自重固く腹帯を締むることの必要を痛感します。

(憑虚)


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第五巻第一号

発行: 1927(昭和3)年1月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 入力:いさお      2009年2月11日

※ 公開:新かな版    2009年2月11日


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