心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第四巻

□ 年末感

 △今年の暮もようやく逝きて、早くも十二月号を出すことになった。平生それからそれへと偏に当面の問題に忙殺され、無我夢中で暮らして来たが、うなると誰でもちょっと考えたくなる。

 △さし当りず疑問を起す。昭和二年度の日本の心霊研究界ははたしてれ丈の成績を挙げたか? これが今年度の収穫でござると言って報告し得る何物かがあるか?

 △理想と現実、期待と実際とはえて喰い違いたがるものであるが、残念ながら今年の心霊研究とても矢張りその選に漏れなかった。私としては一所懸命の努力をささげて居るつもりであったが、悲しい哉学も、識も、徳も、何も彼も足らぬものばかりであるので、ここに取り立てていうほどの何物も何事もしでかして居ない。顧みて穴へもはいりたい。

 △只一つここに歓ばしきは日本の心霊界の目標がようやくにして本誌に集まりかけて来たことだ。本誌は誠に微力ではある。読者の数も決して多くはない。が、本誌は金銭や権力では決して動かない。宗派観念や、党派観念には全然捕えられない。偏に無形の道を侶として白紙の態度で進む――その点がようやく具眼の士から認められて来たらしい。

 △目下私としては鋭意研究中の霊媒並に霊的現象が決してすくなくない。来年あたりは恐らく皆様に向ってこれを紹介発表することができるかも知れぬ。その際は何卒皆様のお力を拝借したい。

 △兎に角日本の心霊界の真の活動は明年度あたりかららしい。後の烏がきにならぬよう常に溌溂たる研究心と識別力とを働かして斯道のめに邁進さるることを切望して止まない。(二・十一・一)


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第四巻第十二号

発行: 1926(昭和2)年12月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 入力:いさお      2008年10月09日

※ 公開:新かな版    2009年01月02日


心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第四巻

心霊図書館: 連絡先