心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第四巻

ゴシップ

浅野 憑虚

□ 餐霞居士龍王を責む

 餐霞居士と………言ったら読者はお判りになりますまいが、これは例の朝鮮の仙道修行者崔基南氏のことであります。松皮を食って居た間は餐松居士で通っていましたが、七月上旬いよいよ白頭山に入ると同時にその松皮をも廃し、純空気生活に移ったところから自然その名も餐霞居士、イヤ洒落しゃれやじょうだんでくっつけた称号ではないのであります

 私のところへはその後ちょいちょい崔氏から簡単な通信がありました。七月三日白頭山入りの途中、三長駅から出したはがき、七月十日いよいよ白頭山頂の天池畔から出した無事安着の名紙めいし、私はそれ等に接する毎に想像をあの白衣痩躯の人の身辺に馳せることを禁じ得ませんでした。私は思うのでした。「先生とうとうその素志を貫いて仙道修行の第三難関にとび込んでしまったナ。海抜約一万尺、気温しばしば零点以下に降る無人無屋の山頭で単身純空気生活を試みることは、いかに錬りあげたからだでも決して楽ではあるまい。願くはこの誠実な修道者の身につつがあらしめるな……」

 白頭山頭の野天生活ははたしてなかなか安穏なものではなかったらしく、暴雨山を壊したり、狂風石を飛ばしたり、雷霆岳を震はしたり雲霧天を蔽うたり、随分ひどい目に逢ったらしい模様が崔氏の文章に現われて居るのであります。右の文章は七月廿一日氏が山頂で書いて天池に投じ、龍王を責めたもので、本日私の所に郵送されてまいりました。多分この夏白頭山探険に出掛けた人にでも托して発送したのでしょう。

 それにしても崔基南氏が思いの外に元気旺盛であるらしいのは誠に歓ばしき限りであります。崔氏に言わせると風雨の荒れるのは天池に棲む龍神のイタズラである。不都合千万とくとく悔い改めて菩提心を起せ! さもなくんば承知せぬぞ! そう言った昂然たる態度で筆を◇してこの一文を草したらしい模様が紙上に躍如として居るのであります。

 崔氏の起居につきては内々気にかけて居らるる方々が多いだろうと考えますので、左に右の文章をかかげてお目にかけることにします。

[注:  著作権を勘案して省略]

 お八月二十五日に発せられた絵はがきは却って右の手紙より数日早く着きました。日本文と漢文とチ ャンポンにした崔氏一流の書きぶりも一興と思われますので、これも左に紹介します。

[注:  著作権を勘案して省略]

□ 自健術、仏舎利、霊言

(二、九、四)

□ 利慾の水銀


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第四巻第十号

発行: 1926(昭和2)年10月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、章毎にページを分け、箇条書きに改行を加え、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

※ 入力:いさお      2008年10月6日

※ 公開:新かな版    2008年11月13日


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