心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第四巻

◇判らないこと

 △近頃大本教の信者達がしきりに「セイシ様」ということを口にするので、私は出口直子の後継者を捉えて「世嗣様」とでも呼ぶのかと思ったら、はからんや、出口王仁氏を「聖師様」と呼んでいるらしいのであった。何の洒落なのか、私にはさっぱり判らない。

 △世の唯物主義者を眼の仇敵かたきにして悲憤慷慨する日本の霊魂論者の中には、欧米で起った心霊現象を平気で否定したり、若しくは軽視したりするのがある。学問の研究にも国境があるのか、それとも他にどんな深い理由があるのか、私には少しも判らない。

 △コナン・ドイルは孔子、釈迦、マホメツト等を以てナザレのイエスに劣らない立派な神人だと言いながら、霊魂論者の綱領の中に独りナザレのイエスのみを各自の亀鑑と認めさせようと力瘤を入れて居る。ういう訳なのか、私にはよく判らない。

 △仏教徒の中にはいかに豊富に幽冥の世界からの通信があっても、いかに死後個性の存続を物語る確かな証拠があっても、遮二無二一切空の一点張りで無理を通そうとするものがある。それを見て釈尊があの世で歓んでいるか、悲しんでいるか、それとも呆れているか、私には判らない。

 △他の一切の事物と同じく、心霊問題にも光明と暗黒の両面がある。光明に接するものは建設につとめ、暗黒に接するものは破壊に走る。現在の日本国で建設が勝つか、破壊が勝つかはまだよく私には分らない。

(二・九・六 憑虚)


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第四巻第十号

発行: 1926(昭和2)年10月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、章毎にページを分け、箇条書きに改行を加え、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

※ 入力:いさお      2008年10月6日

※ 公開:新かな版    2008年11月13日


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