心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第四巻

ゴシップ

憑虚

愚痴府ぐちッぷ

 ゴシップが近頃あまりに西洋種に傾きすぎるようだ、との苦情をちょいちょい耳にしますので、今度はその埋め合わせに日本種を持ち出すことにしました。ゴシップと言っても、本誌の性質が性質なので、手当り次第にいろいろの話題をかつぎ出すわけにも行かず、結局心霊問題に何等かの関係あるものを見つけ出さねばなりませんので、相当これで骨が折れることであります。

 さて五月の下旬に私は参河地方へ約一週間ばかり小旅行を試みましたが、ういうものか今回は予期以上に優良な霊媒諸氏にめぐり合い、面白い実験の数々を重ねました。矢張り日本国には顕幽交通の伝統が決して滅びた訳ではない。ただ無理解な官憲の取締と一般社会の冷遇とに圧倒せられて、それ等の人達が視聴の外に埋没して居たに過ぎないのである、ということがつくづく痛感されました。これは日本国のめにまことに慶賀すべき事と存じます。うり茄子なすびでも種子をおろしてを結ぶまでには数ヶ月の日子を費します。いわんや霊媒となると談何ぞ容易ならんやで、いかに天分に富んだ者でも、一人前に仕上がるまでには三年や五年はかかります。手ほどきは一週間か十日間位でできましても、その程度のものは大体物の役には立ちません。第一身体がれて居ない丈でも駄目です。低級愚劣な霊魂のオモチャ位になることはきても、いやしくも霊界で相当な資格をって居る霊魂はそんな我羅久多がらくた霊媒の肉体は使用しません。強いて使用すれば霊媒の身体は霊気に打たれて滅びます。丁度普通の電球が高圧の電流に堪えられないのとその趣は同様であります。で、一人前の霊媒になるめには、ず身体の鍛練からかからなければなりませんが、身体よりか一層大切なのは精神の鍛練で、物にビクついたり、慾に眼がくらんだりするような有様ではイザという場合にのぞんでサッぱり駄目です。

 んな次第で、日本の心霊学界は、一方において新進霊媒の養成に全力を挙げねばならぬと同時に、他方においできる丈優良な既成霊媒の捜査に向って大努力を払わねばなりませんさもないと、活きた心霊研究の上に取り返しのつかぬ間隙ギャップを造るおそれが生じてまいります。で、誰から頼まれた訳でも何でもありませんが、私どもは現時代の趨勢につきていささか鑑みるところがあって、この数年来微力の限りをつくしつあるのであります。

 おッと、話がツイ理に落ちてしまいました。ゴシップが愚痴ッ府ぐちっぷとなってはやりきれません。大急ぎで世迷言はこの辺で切り上げて置きまして話をすすめましょう。

腕時計の神隠し

Y氏の霊魂と語る

引寄せた玉

(二・五・三一)


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第四巻第七号

発行: 1926(昭和2)年7月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、章毎にページを分け、箇条書きに改行を加え、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

※ 入力:いさお      2008年9月7日

※ 公開:新かな版    2008年9月15日


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