心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第四巻

ゴシップ

淺野 憑虚

▽西洋の雑誌の広告

 西洋で刊行する心霊研究又は神秘主義の雑誌はなかなか多数で、とてもその広告欄の全部に眼を通すいとまはありませんが私が時々のぞいて見る丈のところでもなり多種多様で、興味をそそられる場合がすくなくありません。所謂いわゆる現代人心の帰趨を察するのにはそれをしらべることも必要と考えられますので、手元にあるものの中から少しばかり抽き出して見ましょう。

「オッカルト・レヴュー」誌五月号の広告欄で目立つのは諸種の布教団体の広告であります。ず例の霊智教セオソフィに関するものがあります。御承知の通り霊智教というのは今から約半世紀前にロシアの女性霊能者ブラバッキイ夫人の創立にかかったもので、爾来じらいイギリスとアメリカとにおいてなかなかの根抵を築いて居ります。一と口に言ったら印度思想の現代化又は西洋化とでも申しましょうか、その教の基調を為すものは全然印度式であります。イギリスでは目下ベサント夫人などが同教の代表的作家で、多くの著書を出し、同時にクリシナムルティと称する青年霊覚者を養成し、これが世界の大救済主であると称えて居ることは、本誌の昨年五月号で紹介した通りであります。

 それはさて措き 広告欄に「霊智教徒の協同集会所」という見出しの下に、その趣意、目的、設備等が書かれて居ます。その大要はうです。――

霊智教徒の協同集会所」はブラバッキィ夫人及びジャッジ氏等の著述中に示されたる教材を研究宣布するめの機関として存在するものである。

 霊智教徒としての磐石の根柢こんていは、全然これをその目的並に教義の一致に求むべきでありて、場所の異同、又は組織の如何いかこれを求むべきでない。故に本会には制度もなければ役員も居ない。

 図書室は毎日午後二時半から五時半まで公開す 但し土曜、日曜を除く)

 研究科は水曜日午後八時十五分に開き、問答自由。

 公開講演は毎日曜の午後八時十五分に開催す。四月中の演題は左の如し。

  四月 三 日―「霊魂説―その事実と虚偽」

  どう 十 日―自己教育と自己生長

  どう 十七日―「睡眠―夢―死」

  どう 廿四日―「喩珈と救済」

 因みに同集会所はロンドン市ベーカア街六十二番地に設けられて居ります。

 ぎのページをめくって見ると、其所そこには若い婦人の半身像を入れた一頁大の「世界同胞教会ユニヴァサル、ブラザァフッド」の広告がある。右の婦人はエリザベス・スキンナアという霊能者であるらしく、自から「天の使メッセンジャー」と称し、道を求める人には道を説き、悩める者には慰安と指導とを与えるのだそうで、謝礼は不要であるが、自由意志で行わるる寄附金は快よくこれを受け入れて宣伝用に使用する旨が附記されて居ります

 お「世界同胞教会」の本部所在地は天界にあるのだが、地上の支部はロンドン市デンマークヒルステーションに置いてあるとことわった所などは頗っています。宣言 はなかなか堂々としたもので、その一部を紹介すると――

 救世主メシアの所在地に汝の心に在る、汝は静観によりてのみこれを見出し得る。天使はほのおつるぎ(汝の良心)を以てその入口を守るが故に汚れたものは到底入ることができない汝ははたしてあらゆる宗教に属する、あらゆる人々を愛するか? 汝自身がその最もよき判断者である。汝は何を求めんとするか? 権力か? 知識か? 名誉か? それとも悩める者に対する愛か? 同情か?

 いざ来れ愛する人々よ、永遠の生命、永遠の愛の光明の裡に来れ! 信仰は汝の祖先の足跡を辿れ。それがキリスト教たるとユデイア教たると、回々教たると、ラマ教たると、仏教たると、た儒教たるとの差別はない。汝の信仰の真の中心骨子を求めそれを通して世界同胞教会の教の中に歩み入れ! 汝の頼むべきものはただまことの唯一神あるのみである!

 まだ他にも色々なことが書いてあるが省きましょう。余ほど潜勢力があるものと見えて近年よくこの夫人の顔を方々の雑誌の広告欄に見受けます。

 次の頁には大小種々の四個の広告が載せてある。一つは「三つの原理ザ、スリィ、トルース」と題した新刊書の広告で、頁数は懐中型だった六十四頁で二シルの定価を附けてあるから相当高価な書物であります。果せる哉その効能書は大したものです。――

 今回刊行された本書は偉大なる聖者の一人によりて発表されたもので、人生の三大根本真理を解説してある。将に近づきつつある世界の大困難、大変動に際していかに処すべきを特に示した珍書である。

 内容は不明ですが相当物騒な予言警告の類が書いてあるのかも知れません。

 他の一つは「世界平和協会ユニヴアサル、ウエルフェア、アッソシェーション」と名告なのるもので、その本部はロンドン市二ュー、オックスフォド街七七番地に設けてある。

  日曜日午後三時祈祷(茶の用意あり)

講 師=モウド、ウェストラップ博士。

透視者=ハロルド、エヴアンス。

演 題=「贖罪者と大三角塔」、「ヌーナスに於ける贖罪者」、「健康増進法」其他そのほか

 ざっと其様そんな事が掲げられて居ますが、右の透視者エヴアンスというのは心霊学界では疑問の人物で、先般詐術が暴露したというのでロンドンで大騒ぎを演じたのであります。彼地でも矢張り目明千人盲者めくら千人の譬に漏れずこんな霊薬でも相当持て囃されて居ると見えます。

 一寸面白いのは純菜食主義者の倶楽部の広告で、それはロンドンのランカスタア、ゲート五十一、二番地にある「フェローシップ倶楽部」と称するものです。その広告文に曰く

 本倶楽部は純菜食党の住宅用のもので講堂、図書室、読書室の外に応接室、喫烟室(無線電話附)及び食堂を具ふ。一室の料金一週二ポンド、十五シリング。六ペンス、二室の料金五ポンドシリングより――

 これは頗る真面目な性質のものらしい。

 それにもまして真面目なものは「英国心霊大学ブリテチッシ、サイクック、コレヂ」の広告です。この学校は御承知の通りマッケンジィ氏の主宰するもので、ロンドン市ホルランド、パーク五十九番地に設けてあります。それには――

 大英国に於ける心霊科学の研究証明に関して最も優秀な中心機関。

と簡単に書いた丈でありますが、これに就きては何人も故障を申出づべき余地がありません。おその側の方に「星卜術」の広告だの「ブラバッキィ研究会」だのの広告がありますが、あまり面白くもないから省きまして、ぎの頁をめくるとず「神秘基督教壇オウダア、オブ、クリスチャン、ミスティックス」の広告が目につきます。創立者は例の「正に接迫せる世界の大変動」を著はせる神秘主義者のカアテイス博士で、本部を北米加州桑港に置いてあります。その宣言ともいうべき文句は左の通りです。――

 本教団は世界に有名なる超宗派的精神運動の所在地にして、一切の精神上の哲理を究明し、現世将来の人世の諸問題に向って科学的解釈を下す。――心理学上の諸問題並に経験に関する私的通信を求むるものは任意の謝金を封入して申込まれよ。又請求次第宣伝用小冊子並に刊行書目録無代贈呈

 右につづいて諸種の心霊雑誌や運命判断の広告等がありますが、余り珍らしくないから略します。

「星卜学」の大家として世界的声名を馳せつつあるはロンドンのセフアリアルでありまするが今回この人の「聖書予言の基礎」と題せる新著の広告が大きく出て居て読書子の興味をそそります。――

 時は何よりの証人

△今や世界は多くの予言に充ちている。

△幾多の予兆は地球の各地方より来る。

△キリスト教の聖書、エジプトの大三角塔及び星卜学の研究が相合してこの報道となる。

△それは何事を意味するか

△それは如何いかにして終結するか?

△本書を読めば判る!

    正価金二志

 因みに右の出版書肆はロンドン市ベータアノスア街のライダア会社であります。私もまだ本書を見るに至りませんが、その大要は恐らく本誌四月号の「ゴシップ」において紹介したところと大差ないだろうと思います。他日読んだ上で何か参考になることがあったら又紹介することに致しましょう。

 右の広告の下に、霊能者の広告があります

この種のものはまたほかにも沢山あるが、その標本としてこれを紹介します。――

霊魂との交通霊界よりの啓示

会 場 ハイドパーク街十五番地。

日曜日 午後七時より一般礼拝(ロング氏)

火曜日 午後三時より一般霊能養成(仝上どうじょう

木曜日 午後七時半より霊的説教(仝上どうじょう

毎 日 霊的療法(ケンドル夫人)

    無料但し自由寄附歓迎

    ハイド、パーク街十五番地

秘 書 ビイ、エム、エフ、ロビンソン嬢

        (電話バッディングトン八九五二番)

 ざっとう言った性質であります「無料但し自由寄附歓迎」は彼地の心霊療法家が現在いかなる社会的待遇を受けつつあるかを示すものとして興味深いと思います。

 その傍に出て居るのは「レスポンダ」と称する一の心霊器械の広告であります。読んで見ると――

 電界通信を直接に受けるのは「レスポンダ」に限る。私的研究にはこれほど容易な方法なし。これは文字を書きたる一枚の厚札に微妙なる装置の振子を附したるものにてほとんど間違なく好結果をもたらす。これを使用するに当りて所謂いわゆる霊媒的能力のごときは何等必要なく、潜在的感受性は実習によりて容易に発達す。実に「レスポンダ」は他界からの通信を受くるにも、又心的ラジオ及び読心能力を発達せしむるにも絶妙の器械である。金縁厚紙、振子一切附、送料とも外国行四シリングペンス

    ロンドン市チスウィック、

      フェアファック街二十一

         アル、エー、ロブソン

 私自身まだその器械を一見した訳ではないので無論これを買えとは読者諸子に御勧めは致しません。恐らく本邦で行わるる穴銭の占法(穴銭を長い頭髪で縛り、この振動によりて吉凶その他を判断するもの)に似たものかと想像されます。

 まだまだいろいろの広告がありますが、今回はしばらくこの辺で御免を蒙りましょう。

穴賢。

▽動く十字架


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第四巻第六号

発行: 1926(昭和2)年6月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、章毎にページを分け、箇条書きに改行を加え、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

※ 入力:いさお      2008年8月14日

※ 公開:新かな版    2008年8月23日


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