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人生及国家 救済之霊法を読む

――万灯山の修法の批判――

浅野 和三郎

一 万灯山発行の書物

 前号において私は岡崎の万灯山に就きて一ととおりその輪廓を紹介して置きました。しかしそれ丈ではホンの玄関きをのぞいて見た位のところですから恐らく皆さまは何にやらアヤフヤで、腑に落ちかねる点が多いに相違なかろうかと推定されます。

 私自身としても万灯山に就きては研究日お浅く、決してその全豹ぜんぴょうを知悉して居るという訳には行きません。万灯山の修法の真価、さては伊豫田英照氏の人物の真面目が十分判るには到底一人の力では不充分であり、同時に相当の時日を重ねることが必要でありましょう。現在の私としてはただ現在の私の最善をつくして、不完全ながらも判った丈のところを会員読者諸氏に御報告申上ぐるまでであります。万灯山が偽物であったらその内自然にボロが出るでしょう。若し又はたして真物であったらその内自然に具眼者の注意を惹くでしょう。在来の実例によって察するにこの種の問題は大抵一二年乃至二三年でず間違のない見当がつくようです。

 順序として私はず伊豫田氏の名で発行されている書物の紹介批判から着手したいと考えます。万灯山発行の書物はすべてで左記の五冊であります。

一、人生及国家救済之霊法………………大正四年

一、悪霊解決………………………………大正七年

一、悪霊活動………………………………大正九年

一、天地を動かす霊之魔力………………大正十二年

一、文明の異端者霊之魔力………………大正十三年

 標題を見ても判りますが、いずれの書物も皆同一問題を取扱ったもので、煩簡精粗の差こそあれ、ずその中の一二冊を読めばほぼ大体の見当がつく性質のものであります。私は一と通り此等これら五冊の書物に眼を通しましたが、私の観るところによれば、大正四年に刊行された真先まっさきの書物『人生及国家救済之霊法』というのが一番要領を得て居るようです。よって私は成るべく同書を基本として紹介批判を試みることに決めました。同書は目下絶版となり、皆さまの方で御閲読の便宜がありませんから、かたがた同書を選ぶことが皆様のめにも好都合と思われたからであります。

 元来伊豫田氏は不言実行を標榜する人で、言論文筆の士ではありません。従って伊豫田氏の名で出版されている此等これらの著書も、氏自身は専ら資料を供給したにとどまり、実際の執筆者又は編輯者と言ったものは皆別にあるようです。『人生及国家救済之霊法』とてもその選に漏れず、三浦榮という人が主として編輯の局に当ったようであります。三浦氏はう述べている。

『本書を口述せられた師と私とは七年以来の知己であるが、師は稀に見る無学の人で、又稀に見る実行主義の人である。理屈ヌキの実験で来い主義を奉ずる師の口述を無学文盲の若輩である私が、幽冥界に彷徨する悪霊の魔力から困厄しつつある人々を救うべく、重大なる責務を双肩に担いて、本書を編するは、まことに無謀もまたはなはだしというべきである……。』

 本書の筆者が、気取らず、飾らず、しかも相当の熱と力とを以て、忠実に万灯山の真相を描くべくつとめたところに、他の諸書に見るべからざる長所があるように見受けられます。又本書が最も豊富に実例の列挙につとめたことも参考資料としてはなはだ有力な点であります。但し癩病のような、人のいやがる病気に罹った人の住所姓名まで明記してあるのはいささか過ぎたるは及ばざるの感がないでもない。研究者のめには難有ありがたいが、一般には必要のないことであり、いかにも当人のめに気の毒であります。本書が目下絶版となって居るのはけだもっとも千万の次第というべきでしょう。

二 両刀つかいは不可能

三 新霊魂説の基本問題

四 悪霊怨霊の発生の原因

五 加持祈祷による因縁解除


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第四巻第二号

発行: 1926(昭和2)年2月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、章毎にページを分け、箇条書きに改行を加え、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

※ 入力:いさお      2008年5月13日

※ 公開:新かな版    2008年5月14日


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