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フッラム療園物語

――ロンドン郊外の心霊療養所――

 

一 フッラム療園の創設

 フッラム療園 Hulham House. というのはロンドン郊外にある一種独特の心霊療養所であります。ローズ嬢と言う一人の霊能者がその園主でありますが、しかし実地に疾病治療の局に当って居るものはローズ嬢を通じて診療上の注意やら処方やらを与える所の霊界のお医者さんでありまして、その名をビィル博士 Dr. Beale. と申します。この所謂いわゆるビィル博士が実在の人格的霊魂か、それともローズ嬢の第二人格の別名か、それとも又ある天使(日本ならば神仏)の権化でもあるのか、――それ等の問題はここに推断の限りでありませんが、兎に角この物質的には影も形もない ビィル博士がフッラム療園の主脳者でありそして驚くべき疾病治療の成績を挙げつつあることは英国内で相当具眼の士から広く承認されている事実であります。現にジョン・ワトキンス氏によりて『 ビィル博士』と題せる書物が出版されて居る位です。

 ローズ嬢がビィル博士の指図で患者を取扱いはじめたのはなり以前からのようですが、いよいよフッラム療園を開始することになったのは今から約五年以前のことに過ぎません。療園創立に導いた径路は全然神秘的で心霊事実としても余ほど面白いものです、

 フッラム療園創立の約七年ほど以前だったといいます。彼女は霊眼で療園附近の光景をありありと視せられました。が、庭園の垣の上に桃の樹が茂ったりしているので、ドーも全体の景色が英国らしく思われない。彼女自身もまた米国の加州が特に心霊能力の発揮に適しているときいて居るので、右の療園指定地はきっと加州辺に相違なかろうという見当をつけ、一九二二年の春をもって同地に出発すべき心構えをしていたのでした。

 ところが一九二一年の秋、彼女の知人がエクスマス附近へ貸家を捜しに行くというので、その人と一緒に同地に出掛けることになりました。現在のフッラム療園は、その時捜した貸家の一軒なのでした。

 彼女は入口の通路にさしかかると同時に急にキョロキョロ周囲あたりを見まわし始め、やがて大きな声で叫びました。――『まァ此所ここです此所ここです! 私が七年前に ビィル博士の療養所にするのだと言ってその実況を視せられたのは……。彼所にヴェランダがあるでしょう。あれが芝生です。寸分違っていません! きっと何所どこかに垣根があって桃の木が生えていますよ。』

 しらべて見るとはたして彼女の言った通り桃の木が茂って居り、その他七年以前から彼女の眼底に印象せられて居るところと少しも相違して居ませんでした。右の家屋の所有者までがその時見覚えの人であったのには一層驚嘆させられました。

 早速ビィル博士その他高級の霊魂達に伺って見ると、これが正しく特定の家屋であると告げられました。『霊界の方ではずっと以前から準備してあったのであるが、今ようやく地上でそれが実現する運びに進んだのである。』――そういう霊告でした。

 常識からいうと随分無理な話ですが、其所そこへ行くと信念の力は恐ろしいものです。霊に生きる人に取りては人間の指図よりも霊界の指図の方が大切であります。彼女は自分の仕事の協力者である看護婦のマアシア嬢と熟議の結果、いよいよその所有主と談判して四エーカーの地所ぐるみ右の家屋を手に入れてしまったのでした。

 

二 ビィル博士

三 浴法と罨法あんぽう

四 乾食、断食、滋養療法等

五 胃病其他そのほかの患者と心霊マッサージ

六 難病実例


フッラム療園物語

目  次

二 ビィル博士


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第三巻第十号

発行: 1925(大正15)年10月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、章毎にページを分け、箇条書きに改行を加え、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

※ 入力:いさお      2008年2月28日

※ 公開:新かな版    2008年4月6日


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