心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第三巻

編輯室より

△秋冷の侯といいたいがまだなかなかの残暑であります。二百十日も二百二十日も共に無事であったのは農産国の日本に取っては何よりの慶事でしたが対岸の支那では例によりて例の大騒動しかも今度は蔭からの尻押しも加わりてなかなか事が面倒なようです。残暑よりはこの方がよっぽど息苦しく感じます。

△心霊研究というとともすると現世界と没交渉の閑事業のように考えられますがそれは大に相違します。霊界というのは差別的思想の世界、現界というのは差別的事実の世界、両者は切っても切れぬ関係にあるのです。従って真の心霊研究者は天下の憂に先立ちて憂え、又天下の楽みに先立ちて楽むことになるかも知れません。その真理が判るまでの努力が研究室内の仕事、その真理が、具眼の士に承認されたら心霊家はあるいは街頭に出るべく余儀なくされるでしょう。

△街頭組の先発隊はどうしても疾病治療家で、これは欧米でも同様であります。こちらでは関昌祐氏、秋山命澄氏、川崎庫之助氏、高橋貞子氏、嘉悦敏氏、その他沢山名告を挙げました。近くは藤田西湖氏などもどうやらその決心がついたようですが、これは至極結構なことと考えます。独り疾病治療に限らず実際問題に対して無能の心霊家は何所やらに足りないところがあるものと見て差支さしつかえないようです。

△公平に考えて今後の世の中は多事のようです。社会、政治、国際、経済、何の点から観てももうさかんにごたついて居ります。世潮の尻馬に乗って騒ぐ丈なら何人にもできますが、いやしくも心霊問題に心を寄せるものはすくなくて一歩はそれに先んずる丈の覚悟と修養とをちたいものだと存じます。(憑虚生、一五、九、十一)


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第三巻第十号

発行: 1925(大正15)年10月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、章毎にページを分け、箇条書きに改行を加え、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

※ 入力:いさお      2008年2月29日

※ 公開:新かな版    2008年4月13日


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