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◇秋山命澄氏の読心術実験◇

――『求心倶楽部』第二回席上にて――

 別項所載のとおり、六月二十日午後一時から『求心倶楽部』第二回実験講演会が開かれました。場所だけが予定と違って神田一つ橋外『学士会会館』に変更されました。先月以来会員の数が遥かに殖えまして、この日の来会者は約五十名にのぼりました。

 浅野氏の司会で午後一時半開会、小杉辰氏がはなはだ有益なる体験の告白をされました。その詳細は来月の本誌に報道される筈であります。そのぎに高橋廸雄氏の『正体術』に就きて実験並に説明(説明は岡部長節氏受持)があり、これも多大の興味を惹きました。いずれ来月号に報告される予定であります。

 ここには、当日の呼物たりし秋山命澄氏の読心術実験の概要を記述するにとどめます。秋山氏の読心術はかつて本誌に記載した通り、術者と思念者とが手を繋いで置いてやるのですから、むしろ『読筋術』とでも称した方が適当かも知れません。純然たる思想と思想との交感でなく、甲の思想が有形の筋肉を通過して乙の思想えと伝達するのですからこれを純思想伝達現象と称したら故障を申込む者がないとは言われません。すくなくとも手をつながぬのとつなぐのとの間には無線電信と有線電信との相違が存在しましょう。

 さて当日の実験は最初は秋山氏の令弟を使って試みました。佐々木氏が提出した題は

『お盆のコップを石川武美さんに届くること[#「お盆のコップを石川武美さんに届くること」に白丸傍点]』

というので、念のめに思念者は右の文句を紙片に書いてポケットに収めて置きました。右の出題は美事に成功し、令弟は佐々木氏の手を握ると間もなく、指定された通り、卓上のお盆の上のコップを取り上げ、これを石川武美氏の手に渡し座客から拍手を送られました。しかし二三回試みている中に疲労し『浅野正恭氏の懐中に在るタバコを取りあげ、松村博士に提出すること』(小杉氏出題)などは失敗に終りました。

 ぎに近頃秋山氏から両三回この術を教えられたという木村氏が起って実験を試みましたが、案外成績[#「成績」は底本では「成蹟」]がよく吉岡氏提出の『カーテンを引くこと』という注文は立派に的中しました。

 最後に秋山氏自身実験の衝に当り

『フラスコの栓を取りはずして浅野和三郎君に渡せ。』板倉氏提出。

『卓子上の書物をその所有主に渡せ。』野島氏提出。『岡郎君を正面の椅子に起たせること。』仲摩氏提出。

 その他数題は大体どれも遺憾なく的中しました。但し秋山氏としてはこの日の成績はあまり良好な方とは言い難いようでした。


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第三巻第七号

発行: 1925(大正15)年7月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、章毎にページを分け、箇条書きに改行を加え、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

※ 入力:いさお      2008年2月15日

※ 公開:新かな版    2008年3月14日


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