心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第三巻

□先月下旬から今月にかけて私は又々相当多忙な時日を送りました。第一に上京されたのは例の横森かね代さんで、今度はあの不動明王の掛軸を携えて来られました。そして不取敢とりあえず斯道専門大家の鑑定を求められましたが、大体足利氏末期又は徳川初期の作であることに一致したようです。むろんこのしゅの掛物は絵それ自身の値打よりも、その因縁来歴が大切なことはいうまでもありませんが、しかしあまり時代が符合せぬと神懸りの言葉が当らないことになります。右の鑑定ならばずその点は無事に近いようです。

△かね代さんの上京された前後に瀧川辰郎氏もまた上京され、私の手で幾回か神懸りの実験を行いました。それには予言的の要素が加味して居るのでその内容の発表は全然これを差控え、単に少数の識者丈にきいて置いて戴くことに致しました。その内容価値の有無はやがて両三月の中にほぼ決定するでしょう。その暁にあるいはある程度まで公表することになるかも知れません。今の所ではまだ海のものとも山のものとも判りません。

△大野黙之助氏は今回いよいよ甲州を後に府下高円寺に引越され、いよいよ腰を据えて熱心に心霊現象の実地研究に当られることになりました。今後その研究の結果は、警抜自由なる筆に盛られて本誌を飾ることになりましょう。かかる特志家の出現することはまことに斯学のめに慶賀すべき事柄と存じます。

△先般来『主婦之友』社長石川武美氏、『科学画報』主幹岡部長節氏と寄り寄り相談の結果私達三人の発起で『求心倶楽部』というものを組織することになりました。その趣旨は左のごときものであります――

『今回私ども同感の少数者、最初は三十人か四十人位で求心倶楽部と称する一の会を組織し、月一回位の割で、ごく純真な態度で、適宜の実験なり講演なりを催して行きたいのであります。私どもの考うる所に誤なくば、日本国には外に向っての遠心的運動というべきものは相当に発達して居ると思われますが、その反対に、内に向っての求心的運動と云った性質の企劃きかくほとんど無視されて居ります。――すくなくとも一切の職業、階級、宗教等の区別の上に超越し、ウブな態度で、できる丈実験実証によりて自然の秘奥を探り、心霊の不思議を窮めようと云った性質の運動は絶無ではないかと見受けられるのであります。これは恐らく日本現時の大なる欠陥ではないでしょうか云々。』

 その創会は五月十六日に行い、忍術の大家藤田西湖氏の忍術の実験がある予定であります。(憑生十五、五、一二)


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第三巻第六号

発行: 1925(大正15)年6月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

 

※ 入力:いさお      2007年12月18日

※ 公開:新かな版    2008年2月13日


心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第三巻

心霊図書館: 連絡先