心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第三巻

東洋と西洋

△東洋のやり方と西洋のやり方とは何事につけても根本的に相違した点のすくなくないことは何人も気のつくところで、心霊問題の取扱方、又心霊事実の発展形式等においても、もちろんあきらかにそれが認められる。

△西洋人の顕著なる特色の一つはその協同性、社交性に富んだことである。何事につけても衆と共に足並揃えて進もうとする強い傾向がある。それが心霊研究の上に現われた時に一般的興味と理解とに強く訴うるところの諸現象の出現となる。

△主義主張の宣伝などということも西洋から始まったことで、従ってそのやり方は誠に手に入ったものであるが、宣伝とはつまり共鳴者の勧誘であって彼等の社交性の露骨に現われたものに外ならない。現に故ノースクリップ卿などは死後霊界から躍起となって人間界に心霊主義の宣伝を試みている。

△これに反して東洋人の顕著なる特色の一つは孤立性、超越性に富んで居ることである。ドーセ各人とも境遇が違い、性質が違うべく運命づけられたのであるから他のめに余計な世話を焼よりも自分自身の本性をあくまで磨くべく努めるのが本当だ。宣伝などは山師の手に任して置けばよい。――大体う言った調子だ。

△この性質は心霊研究の上にも強烈に現われる。縁なき衆生は度し難しと言った筆法で、疑う者には勝手に疑わせて置いて、ただ選り出した少数者丈に貴重な体験などを与える傾向がある。事によると日本では西洋流の心霊実験――誰が見ても首肯し得るほど正確な、しかしさして深味もないところ現象等には余り接せられぬかも知れない。

△が、その代りに、根強い、力強い、どこまでも人の心の奥まで喰い入るような、とび離れた現象――丁度群峯の上にとび抜けた富士山のような大心霊現象は、事によるとこちらの畠から出ないものでもなかりそうである。


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第三巻第四号

発行: 1925(大正15)年4月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ 入力:いさお      2007年8月28日

※ 公開:新かな版    2007年1月14日


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