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(巻頭言) 真の開国主義

□大正十四年度もいよいよ本号をもってお別れだ。今年中の事を振り返って見ると自分としては多少の感慨なきにしもあらずだ。大阪を引払って東京に出る。『心霊界』を改題としてこんな個人雑誌をはじめる。実験をる、飜訳をる、講演をやる。

□が、いかに慾目に見ても従来の日本に於ける心霊運動は水平線下のシロモノである。『閑日月かんじつげつのある好奇者が何かグズグズ行っているようだ――』一般世間の方々はそれ位にしか考えてくれない。一方から考えると随分心細い話のようである。

□が、何事も皆時の問題である。日本という国は君子国丈あって古来豹変の国柄である。現に五十余年前にも鎖国主義からたちまちにして開国主義に豹変した。それは主として外交貿易上の開国であったが、恐らく精神問題に対しても大した相違もあるまい。

□時が来ればこの日本国もいままさに全世界の精神界を震撼しつつスピリチュアリズムの研究に向って一気呵成に開国主義をとるに相違あるまい。何となれば、思想善導だの、政治道徳の向上だの、世界の平和だの、労資問題の解決だのと云ったところで、詮じつむればこの土台からきめてかからねばとても局面の打開ができないからである。

□日本が十九世紀末の唯物的甲冑を脱ぎすてて自由寛濶かんかつな心霊の浄衣に着かえる日もモー余り遠き未来ではあるまい。それができた時に初めて日本の真の開国主義が完成する。われわれはそれを目標に、遅くとも着実に不断の前進をつづけよう。


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第二巻第十二号

発行: 1924(大正14)年12月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ 入力:いさお      2007年7月14日

※ 公開:新かな版    2007年10月30日


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