心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第二巻

地蔵さんの崇り

◇大正の今日しかもいかめしい巡査駐在所に地蔵さんが崇って巡査が居れぬというのも眉唾まゆつばのようだが、論より証拠であるからしかたがない。

◇処は北条警察署の管内で加西郡広原駐在所である、それは建ててから十年にもなるが其処そこへ駐在を命ぜられた巡査はどんな頑丈なものでもしばらくすると皆病気になるが、ことにそれが年と共に次第にしげくなるので、兎角同所へ勤務するを嫌うてここ二三年間は閉鎖している方が多い。

◇村民の噂に、駐在所の敷地は元地蔵屋敷ととなえ、数多無縁の石地蔵や五輪塔があったのを無造作に取のけ、今でもその附近に首の無い地蔵さんや胴体に子供が穴をあけたものが沢山転がっているので、それが崇りをするとの評判が高い。

◇矢野署長はソンな馬鹿な事はある筈でないと、地質水質その他科学方面を種々調査して見てもれぞと思い当ることもないが、なんといっても既往きおうの事は実際であって、如何いかな強敵に向ってびくともせぬ巡査でも、この駐在所だけは御免を蒙りたいと云うので、署長もむしろ薄気味が悪くなって、遂にその位置を一町北方へ移転することに決し、村や部落の当局へ交渉しいよいよ近々移転工事に着手することになったが、村民は移転後は大施餓鬼でもして駐在巡査の健康を祈らねばならぬと云っている。(神戸又新、十四、七、八)


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第二巻第十一号

発行: 1924(大正14)年11月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ 入力:いさお      2007年7月13日

※ 公開:新かな版    2007年10月24日


心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第二巻

心霊図書館: 連絡先