心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第二巻

(巻頭言) 運算ヌキ

△運算ヌキで数の計算が訳なくできるものなら結構であるがなかなかそううまく行くものでない。面倒であろうがなかろうが、コツコツって正確な答を出すのが普通人間のまねばならぬ常道である。いくら迅速に答が出たところでそれが誤謬ごびゅうだらけであったなら自他ともに計り知られぬ損害をこうむることになる。

△ところが時ありて暗算の素的に上手な人が稀に現われることがある。莫迦ばかに迅くて、そして莫迦ばかに正確……。これでは全く鬼に金棒式で、いかにくやしくても運算党は指をくわえて感歎の声を挙げるより外に仕方がない。もっとも暗算の上手と云っても半ば は天稟てんりん、半ばは練習の所産らしい。天稟てんりんばかりでも、又練習ばかりでも行かぬところに天の妙機が存在するらしく思われる。

△これは単に数理に関する一場の小談義に過ぎぬが、その他の問題につきても同じ理窟で行けることは勿論むろんである。ここに正しき霊覚者の存在の理由が生れてくると同時に又正しからぬ霊覚者の撲滅の根拠で築きあげられる。吹けば飛ぶような霊覚者――そんなものは正に社会の害虫である。千に三つ位の割合で相場を当てたり、病気を直したりしたところでそれがはたして人生にどれ丈の価値があろう。心霊研究者としてはずそんなところから撲滅しにかかる必要がある。真の心霊研究者はあくまで一般人類の味方であって、断じて不良霊覚者の提灯持ちであってはならない。

△語を寄す日東君子国の霊媒諸氏よ。又その霊媒の裡面に隠れて心霊現象の作製に従事する他界の居住者諸氏よ。良い加減のチャラッポコを並べて愚民を烟にまく時代は過ぎた。何事も御手並拝見である。精神感応又は透視能力の実験一つにかけてもほしいままに外客の蹂躙に任すようなことで一体ドーする気か? この際におい勿体振もったいぶったった小理窟などはすこしもききたくない。何事も御手並拝見である。


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第二巻第十一号

発行: 1924(大正14)年11月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ 入力:いさお      2007年7月13日

※ 公開:新かな版    2007年10月19日


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