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狸の住居

 大阪逓信局では大阪市内各局従業員や家族のめに西区江戸堀南通り二丁目に大阪逓信診療所を設け、市内数万の従業員家族を引受けて実費で診療して居るが、近頃利用者が非常に増加したので診療室を拡張しなくてはならなくなった。所がこの家は弁護士の中井傳太氏がすんで居たあとを同局で引次いだものであるが、その際家の主(?)である古だぬきまで引受けた。それからお役所とは言いながら毎日この古だぬきにお供えをする事を忘れなかった。る夜当直の三宅書記がうなされたので、翌朝取り調べて見ると、小使がお供えを忘れていたのであった。また三宅書記が使いに行って帰ると、にわかに寒気がして来て、何者にかおそわれたので、短刀を振廻すと、直に平静に復した。これはおそらく古だぬきに手洗水をかけたのだろうと想像せられて居る。近来狸にたたられている大阪逓信局では、上本町の工務課長官舎の例もあり、直に工事をやるわけには行かないとあって、西村庶務課長兼同診療所長は二十八日午前十時から同診療所の診療室の拡張工事お願いの祈祷をやり、特に「あなたのお住いを改造しますが決して住心持の悪いようには致しませぬからどうか改造させて戴きます」ということを祈祷者に注文した。

(大毎、十四、六、二八)


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第二巻第九号

発行: 1924(大正14)年9月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 入力:いさお      2007年7月05日

※ 公開:新かな版     2007年8月27日


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