心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊と人生・第二巻

会員読者諸氏に

□会員読者との密接な関係

 心霊科学研究会が創立されてから足掛三ヶ年の間には随分難局に遭遇しましたが、兎も角も一々それを切り抜けて来ましたのは主として皆様の御同情の賜であります。いかに困り切った時にも自分達の背後に熱心な会員並に読者諸君が控えて居られるのだと思う毎に言い知れぬ心強さがむらむら胸の底から湧いて出ました。東京から大阪、大阪から又東京と転々居を移すにつけても常に熱心な会員諸君のお世話にばかりなっているような次第で、幾度心の底から感謝したか知れません。

 それにつけても今後はますます会員諸君との関係を密接にし、われわれの理想実現の完成を期せなければなりません。今回の雑誌の大改革並に規則の大改正もつまりはその理由から出発して居るのであります。

□雑誌の大改革

 先月この雑誌を手にした時に諸君がずびッくりされたのは紙数が莫迦に減って会費が莫迦に安くなったことだったらしい。三百頁五百頁の尨大ぼうだいたる雑誌が流行する時代において頁数たった四十八頁の小雑誌、丁度ちょうど大戦闘艦の側に小ッぽけな水雷艇がポカリと浮いているような塩梅である。一見これは貧弱だなアと、思われるかも知れませんが、私どもが、雑誌を刊行して居るのは元来雑誌を売ることによりて名利を博するのが目的でなく、ただ正確に心霊に関する事実なり、意見なりを率直に皆様に御報告申し上げたいばかりなのです。それには簡単明瞭手取り早く要領を得るようにしてあげ、同時に物質上の負担を軽減してあげるのが私どもの責任であらねばなりません。千思万考の結果とうとうんな体裁を選ぶことになりました次第で、不敏なる私が今後しばらく全会を代表し、たった一人で雑誌全体の執筆なり編輯なり、を受持つことにしました。この改革の結果、時間並に経費の御負担が従来の約三分の一に減ることになる訳であります。

□誌上の心霊倶楽部

 が、一利一害は何事につけても免れないところで個人雑誌式の単独執筆の弊害はややもすれば単調に流れ、自己の色彩が勝ち過ぎる点であります。それを成るべく防止する最良の策は皆様から豊富な通信を頂戴することであります。通信の種類は

 (一)心霊事実の記録

 (二)心霊研究に伴う意見、感念、質疑等。

 であろうと存じます。文章の巧拙長短等はごうも問う所でありません。一応私がそれに眼を通し、充分整理した上で、必要あれば卑見をも加えて誌上に発表する考であります。さすれば雑誌の単調孤立を破り得ると同時に、お互の意思も疏通そつうし、東西各方面の事情もあきらかになり、言わば誌上に一の活きた心霊倶楽部が組織されることになります。是非ぜひこれは皆様の御賛成に預かり充分の実績を挙げたいと存じます。くれぐれも申上げておきますが、本誌は主として皆様の研究機関であり、私はただ皆様の便宜のめに設けられたる一の報告係、一の整理委員であるに過ぎません。

□支部の設置

 しかしこのしゅの問題は単なる誌上の研究だけでははなはだ物足りない点がありますし。是非ぜひとも膝と膝とを突き合わせ、必要があれば霊媒をも連れて行って実験もやるというところまで進行させる必要があります。で、別項規則(抄)にも出して置きました通り、成るべく全国にわたりて本会の支部を設置し、其所そこで談話会なり、実験会なりを催し時にはその主催の下に一般の公開講演会をも催す運びにもしたいと存じます。私もできる丈繰り合わせて、一ヶ月に一度位は地方出張に応ずることにしたいと存じます。

 何にしろ活きた力強き心霊現象が近頃のように頻出するようになった以上はお互にボンヤリ引込み思案に暮れている訳には行きますまい。着々として健実なる研究調査を遂げ、さし当り成るべく完全な自己を造り上げ、つづいて人類全体のめ、又国家社会のめに応分の貢献をすべきではありますまいか。折角の心霊事実をムザムザ土足に踏みにじられるに任せるのは決してお互の名誉ではありますまい。


底本: 雑誌 「心霊と人生」 第二巻第八号

発行: 1924(大正14)年8月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

※ 入力:いさお      2007年6月19日

※ 公開:新かな版     2007年8月23日


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