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幽界行脚(一)

▼剣橋大学の受賞ワアド学士の幽界探検記▼

小松並樹

はしがき

 ワアド学士の卓抜にしてしかも正確無比な霊能は既に本誌四月号に紹介したとおりで、御承知でもありましょうが同氏の能力は(一)霊視(二)自動書記(三)霊魂遊離の三方面に分れ、縦横無尽に霊界並に幽界の内部を探検し、それを暢達ちょうたつ自由な文字で発表して居ります。記事が余りに写実的で、事こまやかで、つ興味沢山なので、不用意の読者からは却って想像を逞うせる一の文芸的作品でないかと疑われ易い傾がありますが、事実は全くこれに反し、それが立派に死後の世界の正確きわまる探検記に相違ない証拠が各方面から挙げられて居ります。実際又人間の頭脳あたまでいかに鯱鉾立しゃちほこだちになって想像をめぐらして見たところでここまでの空中楼閣を築き上げることは不可能に近いと考えられます。世界には随分浪漫的夢幻的な作品も沢山現われて居りますが、私は近代の作物の中で、ここまで思い切って深入りした、人間臭味の加わらぬものは絶無ではないかと存じます。大低のものは身を地上に置いてこちらから他界を眺める丈でありますワアド氏に於きましては全然身を他界に置いてあちらから地上を眺めて居ります。これは決してただの芸当ではありません。

 ここに訳出紹介することになりましたのはワアド氏の霊能の最高潮に達したと思わるる時に出来上った幽界の探検記事であります。ワアド氏の実弟レックス中尉は一九一六年(大正五年)四月欧州戦場で戦死を遂げましたがワアド氏はその独特の霊魂遊離能力を充分に発揮し、幾度となく愛弟を幽界に訪問し、相携えてその実地踏査を試みました。その間に氏は霊界に行って居る叔父のL氏だの、善悪両面の豊富な経験を積める無名陸軍士官だの又レックスと同年に帰幽せる実母だの、諸霊魂ともしばしば会見し、ここに多大の興味と教訓とに富める、不思議きわまる一篇の物語を作り上げて居ります。死後人間はうなるとか、幽界だの霊界だのがはたして存在するものかせぬものかとか云った議論はしばらく後廻わしにして、一と通りワアド氏の一生懸命に研究調査の結果を読んでやるのが順序でありましょう。最近私の手元に届いた同氏の私信によればワアド氏はますます健在で、極力斯道の研究に当り是非日本へも来て見たいと言い寄越してあります。私達が愚図愚図して居ると日本の霊界の消息がんな人から教えられることにならんものでもありません。

 本篇の巻頭レックス中尉が幽界から寄せた序文は本誌四月号にすでに紹介してありますから是非御一覧を願いたいと存じます。

 

一 亡弟との邂逅

 ※ 著作権(戦時加算分)殘有につき割愛

二 叔父の出馬

 ※ 著作権(戦時加算分)殘有につき割愛 


底本: 雑誌 「心霊界第二巻第六号」 

発行: 1924(大正14)年6月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

※ 入力:いさお      2007年 月 日

※ 公開:新かな版     2007年7月16日


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