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「心霊界・第二巻」
評壇
▲トムソン教授▼
新型の科学者としてはアーサー・卜ムソン教授なども確かに其一人である。教授の新著に『生命の謎』と云う一書がある。そこには新型の科学者の驚く可き力が至る処に見出される。例えば、トムソン教授は人の五感以外の感覚を認めて、
『五感以外になどと云えば、それは聖物冒涜のように思われるかも知れないが、実際、嗅、味、触、聴及び視覚以外に、確かに諸感覚が存して居るのであるから、私共は私共の心を固くして驚いてはならない』
と先ず力強く断案を下し、続いて精密なる科学的研究の結果から得られた五感以外の作用を詳細に説明して居る。教授の説に従えば、従来単に霊覚と簡短に片づけ且神秘的に説いて居た現象は実は科学作用に過ぎないことが分明する。
例えば、嗅覚に依って遠方のものや、隠れて居るものを嗅ぎ出し、或いは味覚により不消化物を無意識に排出し、更に物の香に依り記憶、感情、思想等を連想し得る感覚を備えて居ると説き出し、最後の結論に曰く――
『私共は五感を所有している所ではなく、実際二十個に近い感覚をもって居る! 私共は殆んど二十感を有するのである!』と。
底本: 雑誌 「心霊界第二巻第五号」
発行: 1924(大正14)年5月1日 心霊科学研究会
※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。
※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
※ また、HTML化に際して、底本中の傍点表記を下線表記に、置き換えました。
※ 入力:いさお 2007年 月 日
※ 公開:新かな版 2007年5月13日
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