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ステイントン・モーゼスの犠牲的生涯

▼近代心霊研究中興の大霊媒▲

小松並樹

(三)

 モーゼスの霊的能力は以上記述せる如き物理的現象によりて注目に値するが、それはむしろ附随物で更に一層高尚なる霊能が発揮されて居る。外でもない、それは彼の自働書記能力で熱と力とに富みたる浩瀚こうかんの文書を作製したのである。彼は時々恍惚状態において幽冥界との交通を開き、自己の肉体を離れた時の経験を後まで記憶して居た事も一二度あった。彼は自己の霊魂が自己の肉体を客観的に見物した時の状況を面白く書いている。自己の肉体を見降すと、自分自身は卓子テーブルり、左手で前額を支え、右手でペンを握り、紙に当てている。これは自働書記を行っているのである、その時判明はっきりと見えたのは自己の幽霊と肉体とを連絡する所の一条の霊線であった。又かの『レクトル』と称する幽霊だの、その他の幽霊だのが卓子にれる自分の肉体を囲んで立っている状況も見えた。其際そのさい意外に感じたのは、自働書記なるものはねて想像した如く、霊手が手首や腕に働く事に依りて起るのでなく、一条の光線がその手に集中する事によって起るのであった。直接の霊書もまた同様に、一条の光線がペンを動かして作製するものである事を知った。

 この光景は一場の幻覚に過ぎないか、それとも実際の真相を穿ったものであるかは容易に判定する事は出来ない。科学的見地から見れば、心霊上の法則なるものは、はなはだ捕捉するに困難であり、っそれに関する科学的智識は未だ幼稚なるを免れざるが為に、世人はただ驚異の眼をもってこの奇現象に対するに過ぎない。表面的事実と、実際とが区別されず、結果と原因及び方法とが混同されているので、心霊諸現象を支配する心霊法則も今なおその大部分は未知数であり、時にその一端をつかみ得たとするも、それを科学的に理解するには前途なお遼遠りょうえんである。


(二)諸種の現象

目  次

(四)


底本: 雑誌 「心霊界第二巻第二・三号合併」 

著者: 小松並樹

発行: 1924(大正14)年2月11日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

※ 入力:いさお      2007年2月13日

※ 公開:新かな版     2007年4月10日


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