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卓子浮揚現象 (二)

クローフォード博士 (W. J. Crawford 1921) 著

クローフォード博士によって行われたる実験と理論

(五)蓄音器の証明

 この卓子浮揚現象がはたして客観的実在性を有するや否や――これが私の最初に注意を払った点であります。心霊現象に反対する議論の一つはそれが一の錯覚であるということであります。すなわち実験室内の特殊な状況に誘致せられし人々が一種の催眠状態に陥り、主観的に叩音を聴くような気がしたり、卓子の空中浮揚を目撃するかの如く感じたりするに過ぎないというのであります。就中なかんずくこの種の論者は生物学者の間に多く、人間の頭悩は非常に複雑微妙で幻予錯覚に陥り易いものであることを幾多の病的現象に拠りて説明するのです。無論これには半面の真理はあります。一部の変態心理現象はこれによりて説明が可能であります。しかながこのしゅの議論は間断なく心霊学者によりて行われつつある精緻なる研究観察の結果を覆すに足りません。幼稚浅薄なる催眠現象に驚歎せる時代は既に過ぎ、今日の催眠術は到底とうてい暗示説や潜在意識説で説明し兼ねる、深味のある幾多の実例を提供しつつあります。従来においても心霊現象の研究者は諸種の器械を用いて現象の客観性を確立すべく工夫して居ります。例えば浮揚中の卓子を閃光写真で撮るが如きそれであります。又心霊作用によりて起る運動の如きも自動的に記録されてあります。モー今日では此等これらの現象に対して綜合幻覚説などは当箝あてはまりません。が、私としては更に一歩を進め、ず第一にゴライアー家に起る心霊的諸音声――叩音、打撲音、ガサガサする音等――がはたして真の客観性を有する音声であるか、それとも空想の所産であるかを碓かめることの必要を感じたのであります。この目的を達すべく私は蓄音器を使用したのであります。

 蓄音器の使用は相当困難事であろうとは最初から想像されました。何となれば実験者はドーしても実験室に於ける諸条件の変改を期待することがきぬからです。そこで私はその準備としてベルフアストに於ける蓄音器の知識の第一人者たるオスボルン氏を招きて相談の上でいろいろ試験して見ました。床の上に蓄音器を置いて、ナイフの柄でトントンと叩音を起して見ますと、喇叭ラッパ管から一フィート内外の音ならばなりよくはいります。吾々は蓄音器の高さをかえたり、又音声の性質や位置をかえたり、種々試験したのでした。


(四)疑議の釈明

目  次

(六)音譜の作成


底本: 雑誌 「心霊界第二巻第一号」

著者:クローフォード博士 (W. J. Crawford 1921)

訳者:浅野 和三郎

発行: 1923(大正13)年12月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、章毎にページを分け、箇条書きに改行を加え、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

※ 入力:いさお      2007年2月20日

※ 公開:新かな版     2007年3月20日


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