心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊界・第二巻

◇石塔の主◇

奥州二本松に薬研屋久心とう好事家が居った。同所正念寺山に苔生えて古びたる石塔があったのを持って来て、新たに作り設けた庭の踏石にしたところが、その頃から毎夜毎夜恐ろしい夢に襲われるのであった。ある日昼寝の夢に若い女いみじき姿にて現われ来り、我久われひさしく住馴すみなれし所を引放ち、かかる処へ連れ来るのみか、土足の踏石にする事心外千万である。もとの処へ戻せばよし、戻さぬにおいては其侭そのままには置かぬと、怒れるまなざしすさまじくにらみつけられて夢覚めた。不思議に思って調べて見たところがこの踏石は八十年以前畠山重次といし人の娘、十七八にてみまかりしを葬った石塔であるとう事が判明したので、早速もとの処へその石を戻したが、それ以来悪夢をみる事はなくなった。延宝年中の事実と伝えられ居る。


底本: 雑誌 「心霊界第二巻第一号」

発行: 1923(大正13)年12月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 入力:いさお      2007年2月10日

※ 公開:新かな版     2007年 月 日


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