心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊界・第二巻

◇狐の喉を締める◇

寛政ごろ肥前国であったことである。農家の女房が、医者を迎えて連れて帰る途中山蔭に狐が一疋居るのを見て、医者にむかって、あの狐の息を止めて見せましょうかと言ったので、医者が、それはどうしてするかと不審した。そのとき農婦は、自分の手で自分の咽喉を締めると、やがて彼の狐如何いかにも、苦しそうに手足を藻掻もがいて、起ったり倒れたりするさまは、呼吸がつまったものと見られた。医者はあきれて暫時しばし眺めて居た末、モウ勘忍してやるように言ったので、農婦は咽喉から手を離すと、狐は自由になって駆け逃げた。仲々なかなか味なことをやる女房であるが、これは一種の暗示術らしい。


底本: 雑誌 「心霊界第二巻第一号」

発行: 1923(大正13)年12月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 入力:いさお      2007年2月23日

※ 公開:新かな版     2007年3月26日


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