心霊図書館雑誌総合案内> 「心霊界・第二巻

◇人造虎◇

江戸尾張町一丁目の扇子屋、牛の子を買いもとめて、顔から胴体は勿論むろん、足の先迄虎の皮を縫いつけて、堺町の見世物に出して多くの利益を得た。人造虎であるから牛の声で鳴き出されては直ちに露見をすると考えて、口はしっかり縫いこめにしてあるから、モーとう鳴き声はささぬ代りに食事をとる事が出来ぬので、六七日すれば必ずたおれて仕舞うのであった。たおれれば取り代え引き代え人造虎を造って、とうとう牛の子五六匹がその犠牲になったが、扇屋はついに乱心し、牛の啼くまねをして狂い死んだとう事である。


底本: 雑誌 「心霊界第二巻第一号」

発行: 1923(大正13)年12月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 入力:いさお      2007年2月23日

※ 公開:新かな版     2007年3月19日


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