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K女史の透視能力の発揮

 

 同志会専属霊媒K女史の能力養成に関しては本誌の浅野主筆が同会の顧問として不断の努力を捧げ、今日に及んで居る。今尚いまなお進行中に属するものは他日の発表を待たねばならぬが、女史の『透視』能力の実験はほぼ練習時代を通過して正に大成の域に進まんとして居るから、ここその経過の大要を報告するのも早計ではあるまい。

 従来K女史は無意識状態に起ける霊言の能力者であり、透視能力は絶無であったが浅野氏は何とかして有意識状態において透視能力を発揮せしめんとして、その誘動に努力しかけたのは本年八月の下旬からであった。幾度か霊界との交渉を重ね、幾度か失敗を閲した後でようやその曙光が見出したのは九月十九日の夜であった。浅野氏が実験材料として使用したのは長さ六寸、巾二寸、高さ三寸許のボール箱で、其中そのうちに『恋愛革命山本官治著』と赤地に白く抜きたる印刷物(同書の包装紙を切り抜きたるもの)を挿入し、箱の蓋を厳密に封印したものであった。

 K女史は約五六分間単独で瞑目して統一状態に入り、前記の九字の中で『革命山本著』の五字を透視し得たが、印刷物の色が何であるかは識別し得なかった。

 九月二十日の朝浅野氏は更に同一ボール箱を用い、『秋の月』の三字を大書して実験した。これも数分間で見事に『』『』の二字を透視したが、中央の『』の字を『丸い輪』であると視たのは面白い間違であった。

 二十二日の午前には『金か名か』と書せる紙片を同一の箱に入れて試験せるに、K女史は自己統一で『金又名又』と見た。依って同日午後二時頃、今度はK女史を鎮魂して再試験を実施せるに僅に五分間で『金カ名カ』と訂正した。これでもまだ片仮名と平仮名との相違はあるが、ほぼ的中と称してよかりそうである。

 二十四日には、箱は前回の通りであるが内部へ入れたのはボール紙、それにインキで『至誠通神』と書いて置いた。肉眼ですら見にくい位のもので、最初からその成功を疑われたが、その所為せいか両三度試みたけれども透視し得ずにしまった。もっともその日霊媒の状態にも調子の面白くない点があったので、あるいはそれに原因して居たのかも知れません。

 二十五日には白紙に墨で『神力』と書いて透視せしめた所が十分間で成功し、二十六日には『』の字を左文字に書いて試みたるに箱の裏面から透視して『金真』の二字なりと言い当てました。この調子で進行すれば一二ヶ月の内には当代有数の正確なる透視能力者となるかも知れません。その結果は逐次発表することに致します。


底本: 雑誌 「心霊界第一巻第九号」 

発行: 1923(大正13)年10月1日 心霊科学研究会

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、底本中の白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

※ 入力:いさお      2006年9月23日

※ 公開:新かな版     2007年1月22日


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