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趣意書

――心霊科学研究会設立に就きて――

一、心霊現象の科学的研究

 心霊問題の発生はその淵源えんげんはなはだ古く霊的現象に関する記録は、日本をはじめ、埃及エジプト印度インド、支那、希臘ギリシア羅馬ローマ其他そのほかあらゆる古代文明の歴史に見出されます。又世界の大宗教中それが霊示霊告の所産でないと称せらるるものは、ほとんどただの一つも見当りませぬ。しかながら、心霊作用がすべての迷信、すべての虚偽、すべての偏見から離脱して、純科学的見地から仔細に研究さるるに至りましたのは最近の事に属します。二十世紀の心霊学は正確なる実証、厳正なる推理の外には何物の混入をも許しませぬ。私どもの首唱する心霊研究会設置の目的が全然ここに存する事は申上ぐるまでもない事であります。

 けだし精緻なる実験と的確なる推理とは、学問研究の上に欠くべからざる二大要素でありまして、二者その一を欠けば到底健全なる発達を遂げ、終局の美果を収むる事は不可能であります。近代科学はこの点に関してほぼ遺憾いかんなき進行を続けつつあります。実験は理論を促し、理論は実験をたすけ、両々相待ちて一歩一歩に新原野を開拓し、新事実を発見しつつあるはまことに文化史上の偉観と称して差支さしつかえないかと存じます。この近代学問は遠く淵源えんげんを十七世紀の昔に発し、かのフランシス・ベーコンのごときは熱心に経験の価値、事実の勝利を力説したものの第一人者でありますが、ただベーコンは心霊問題に関しては未だ一指を染めず、これを宗教と信仰とに一任して、学問研究の対象とするに至りませんでした。この傾向は二十世紀の今日においてもお一部学者の間に残存し、霊的現象の研究調査を等閑視せんとするものがありますが、それはあきらかに一大謬見であると考えられます。学問は何物をも研究し、何物をも実証的分析にかけねばなりません。すでに幾多の霊的現象が事実として世界各国に頻出し、そしてそれが社会人心の上に甚大なる影響を及ぼしつつある以上、これに眼をつぶらんとする事は断じて真正なる学者の本分を諒解せる行為とは申されません。無論心霊学は前人未発の新原野でありますから、その初期において幾多の困難を伴い、幾多の苦心を要し、直接間接に意外なる故障妨害に逢着する場合も決して尠少せんしょうではないでありましょう。公平に考えまして、今より半世紀以前――事によると十年以前でさえあるいは日本において企図すべからざる難事業であったかも知れませんが、幸い今日において、これが立派に学者の手にて取扱い得る問題である事は、最近欧米各国に於ける心霊研究の異常の発達隆盛を見ても明白であると思います。この問題は断じて神学者流や好事者流の翫弄がんろうに委ねて止むべきではありません。確かに真摯なる学者の心血をそそぐべき学問上の一大分科に属するものと信じます。


「心霊研究」 第一巻

目  次

二、科学界の大革命

と心霊問題


底本: 雑誌 「心霊研究」 第一巻

無署名に付き、著者不明。

発行: 1922(大正12)年7月1日 心霊科学研究会

資料協力: 思抱学人

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、章毎にページを分け、箇条書きに改行を加え、底本中の黒丸傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

 

※ 入力:いさお      2007年4月24日

※ 公開:新かな版     2007年4月24日


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