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心霊研究

創刊号

 桃や桜が跡方もなく散って新緑萌ゆる初夏の季節に本誌の編輯へんしゅうが行われた、われわれは決して世の所謂いわゆる操觚者ジャーナリストではない。雑誌のめの雑誌を作る技術にははなはだしく欠けて居る。われわれは心霊科学研究会を設けて実験を行い、又心霊問題に関する真面目な研究を続けて居る丈の人間で、その結果報道の必要に迫られてここに本誌を刊行したに過ぎない。従って雑誌としての体裁其他そのほかに幾多の欠点もあろうが、これは号を重ねるにつれて段々練熟の域に進むのを待って戴くより仕方がない。又読者諸氏の方でもこの真相をみて、刻々有益なる注意を恵まるる事を懇願する。

 本会の創立に際しては種々の揣摩しま臆説おくせつが行われた。或者あるものは心霊研究の美名に隠れてある特殊の信仰を強いんとするのではないかと邪推した。或者あるものは心霊上の事柄は在来の科学で研究ができるものでないと見当違いの難癖をつけた。或者あるものは険悪な空気のみなぎって居る現在の社会に心霊研究などは手ぬるい仕業で、もっとテキパキ当面焦眉の活問題に猛進すべきであるともどかしがった。他にもいろいろの説を承った。が、われわれにはわれわれの信念がある。われわれは、心霊現象の科学的研究をもって、すべての他の問題よりも、一層意義が深く、又、一層痛切であり、現代人は、その第一歩をこの研究から踏み出さねばならぬと主張するものである。換言すれば新時代の新基石は是非心霊の研究をもって築き上げねばならぬと呼号するものである。

 本誌がはたしてこの重大責務を果し得るや否や、又世間の疑惑を解き得るや否や、本誌の生命の有無はこれによりて決せらるるものと覚悟してよかろう。


底本: 雑誌 「心霊研究」 第一巻

無署名に付き、著者不明。

発行: 1922(大正12)年7月1日 心霊科学研究会

資料協力: 思抱学人

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、章毎にページを分け、箇条書きに改行を加え、底本中の黒丸傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、強調表記に、置き換えました。

 

※ 入力:いさお      2007年4月24日

※ 公開:新かな版     2007年5月6日


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