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4 不浄と災厄

2010/10/15

山本。御語中なれど、茲に取立てて尋ね申すべきことあり。実は当家火難の運気至れる由をきき当家の主人いたく心を悩まし、吾等へ頼むにより、昨日より家運長久の祈祷をなしたるが、此祈祷にて凶運は消失するものか。若しその事協わずとならば、いかにせば此難を免るべきか。御存じあらば教え下されよ。

 作次郎、杜氏等も其義は篤と教えて置かれたしと口を揃えて依むのでした。

幽魂。貴殿方丹誠の御祈祷にてその凶運は免れ得べし。

山本、吾等の祈祷にて災厄を免るということは如何にして知らるるや。

幽魂。祈念に依りて災厄を免るる根元の道理は我等如き霊魂の未だ知る能わざる所なれど先月我等に神法御祓等を施されしがめに数百年間住み居たるわが墓地の頓かに穢わしくなりて再び住居し難きまで昇級したるを見れば其神法のいかに難有きものかは推して知るべし一家の凶運もなどて此法によりて消失せざるべき。且つ今は主人をはじめ、家内の者ども、心から過ちを悔ゆるの誠意あれば、開運の緒の開けむは確かなり。

山本。シテ此度の火災は神の怒りか、邪神の所為か、将た竈神の責罰か、祈念に就ての心得方あれば誨え玉え。

幽魂。世の禍は人の仕損じより起ることも多けれど、又神の御怒りに触れる場合もあり。又邪神の荒びより起れるもあり。或はいかなる故とも知れずして不図起るものもあり。時とすれば竈神を粗末になしたりとで、其怒りに触れぬこともあるなり。

山本。此度の事は竈の神の御怒りにてはなきや。

幽魂。されば之を竈神の荒びと言えば言われざるにもあらず。邪神は好みて人の害を為し、神明はつとめて邪神を除き玉う。ち竈の神の司り玉う竈に不浄を集め無法を働く事はこれ邪神の望む所にして神明の嫌い玉う所なれば凶事はこの辺より起るなり。宮崎山本の御両所より、当家の者どもに篤と此道理を教え玉われよ。誰も家業の忙わしき時は天地の大本の理にもとりて物事を粗略にし穢れを招き易きものなればよくよく心附くべきことなり


浅野和三郎著

底本:「心霊文庫第3篇 続幽魂問答(付録 長南年惠物語)」 

心霊科学研究会

1930(昭和5)年06月20日発行

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、底本中の傍点表記を、下線表記に置き換えました。

※ ルビ付き版はこちらです。


入力: いさお


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小桜姫物語について

「小桜姫物語」の再編集完了。

1、ルビなしのPHP化により携帯電話での表示が可能になり、キーワード検索が容易になりました。
2、HTML版は、従来誤字の修正点が未掲載だったものをバルーンヘルプにて誤字の修正点が解るようにし、底本の状態に近づけました。
3、CSSを変更して、HTMLのルビが、IE以外のブラウザでも表示出来るようにしました。

 今後、他のページも同様に再編集して行きます。

次は「新樹の通信」の再編集を行ないますが、9月1日から9月10日まで、私事多忙につき更新おやすみ。