78、神々の受持

 神々のお受持と申しましても、これは私がこちらで実地に見たり、聞いたりしたところを、何の理窟もなしに、ありのまま申上げるのでございますから、何卒そのおつもりできいて戴きます。こんなものでも幾らか皆さまの手がかりになれば何より本望でございます。

 現世の方々が、何は措いても第一に心得て置かねばならぬのは、産土の神様でございましょう。これはつまり土地の御守護に当らるる神様でございまして、その御本体は最初から活き通しの自然霊……つまり龍神様でございます。現に私どもの土地の産土様は神明様と申上げて居りますが、矢張り龍神様でございまして……。稀に人霊の場合もあるようにお見受けしますが、その補佐には矢張り龍神様が附いて居られます。ドーもこちらの世界のお仕事は、人霊のみでは何彼につけて不便があるのではないかと存じられます。

 さて産土の神様のお任務の中で、何より大切なのは、矢張り人間の生死の問題でございます。現世の役場では、子供が生れてから初めて受附けますが、こちらでは生れるずっと以前からそれがお判りになって居りますようで、何にしましても、一人の人間が現世に生れると申すことは、なかなか重大な事柄でございますから、右の次第は産土の神様から、それぞれ上の神様にお届けがあり、やがて最高の神様のお手許までも達するとの事でございます。申すまでもなく、生れる人間には必らず一人の守護霊が附けられますが、これも皆上の神界からのお指図で決められるように承って居ります。

 それから人間が歿なる場合にも、第一に受附けてくださるのが、矢張り産土の神様で、誕生のみが決してそのお受持ではないのでございます。これは氏子として是非心得て置かねばならぬことと存じられます。尤もそのお仕事はただ受附けて下さるだけで、直接帰幽者をお引受け下さいますのは大国主命様でございます。産土神様からお届出がありますと、大国主命様の方では、すぐに死者の行くべき所を見定め、そしてそれぞれ適当な指導役をお附けくださいますので……。指導役は矢張り龍神様でございます。人霊では、ややもすれば人情味があり過ぎて、こちらの世界の躾をするのに、あまり面白くないようでございます。私なども矢張り一人の龍神さんの御指導に預かったことは、かねがね申上げて居ります通りで、これは私に限らず、どなたも皆、その御世話になるのでございます。つまり現世では主として守護霊、又幽界では主として指導霊、のお世話になるものとお思いになれば宜しうございます。

 尚お生死以外にも産土の神様のお世話に預かることは数限りもございませぬが、ただ産土の神様は言わば万事の切盛りをなさる総受附のようなもので、実際の仕事には皆それぞれ専門の神様が控えて居られます。つまり病気には病気直しの神様、武芸には武芸専門の神様、その外世界中のありとあらゆる仕事は、それぞれ皆受持の神様があるのでございます。人間と申すものは兎角自分の力一つで何でもできるように考え勝ちでございますが、実は大なり小なり皆蔭から神々の御力添えがあるのでございます

 さすがに日本国は神国と申されるだけ、外国とは異って、それぞれ名の附いた、尊い神社が到る所に見出されます。それ等の御本体を査べて見ますると、二た通りあるように存じます。一つはすぐれた人霊を御祭神としたもので、橿原神宮、香椎宮、明治神宮などがそれでございます。又他の一つは活神様を御祭神と致したもので、出雲の大社、鹿島神宮、霧島神宮等がそれでございます。ただし、いかにすぐれた人霊が御本体でありましても、その控えとしては、必らず有力な龍神様がお附き遊ばして居られますようで……。

 今更申上ぐるまでもなく、すべての神々の上には皇孫命様がお控えになって居られます。つまりこの御方が大地の神霊界の主宰神に在しますので……。更にそのモー一つ奥には、天照大御神様がお控えになって居られますが、それは高天原……つまり宇宙の主宰神に在しまして、とても私どもから測り知ることのできない、尊い神様なのでございます……。

 神界の組織はざっと右申上げたようなところでございます。これ等の神々の外に、この国には観音様とか、不動様とか、その他さまざまのものがございますが、私がこちらで実地に査べたところでは、それはただ途中の相違……つまり幽界の下層に居る眷族が、かれこれ区別を立てているだけのもので、奥の方は皆一つなのでございます。富士山に登りますにも、道はいろいろつけてございます。教えの道も矢張りそうした訳のものではなかろうかと存じられます。では一と先ずこれで……。

(完結)


底本:「霊界通信 小桜姫物語」 潮文社

1998(平成10)年07月31日第九刷発行
底本の親本は心霊科学研究会出版部
1937(昭和12)年02月発行

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、底本中の傍点表記を、下線表記に置き換えました。

※ 底本で使われている「面区点2-12-11 (U+2231E)」]の文字は、辞書によっては異体字として扱われていない「廻」で置き換えています。

※ PHP化に際して、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、斜字に置き換えました。また、底本中のルビは割愛しました。

※ ルビ付き版はこちらです。


入力者: 泉美

かな修正: いさお


コメントは受け付けていません。

2010年9月
« 8月   10月 »
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  
小桜姫物語について

「小桜姫物語」の再編集完了。

1、ルビなしのPHP化により携帯電話での表示が可能になり、キーワード検索が容易になりました。
2、HTML版は、従来誤字の修正点が未掲載だったものをバルーンヘルプにて誤字の修正点が解るようにし、底本の状態に近づけました。
3、CSSを変更して、HTMLのルビが、IE以外のブラウザでも表示出来るようにしました。

 今後、他のページも同様に再編集して行きます。

次は「新樹の通信」の再編集を行ないますが、9月1日から9月10日まで、私事多忙につき更新おやすみ。