(9) 心霊研究の参考書

 本書は最初にお約束したとおり、近代心霊研究の単なる道案内をつとめるのが主眼なのですから、どこまでもそのつもりで講述の筆を進めました。この一冊だけお読みになって、それで皆様の懐かれている疑問が解けないどころか、恐らく却って疑問が一層殖える位のところでしょう。又それが筆者の希うところでもあります。疑問が起るから研究心も起ろうというもので、何より可けないのが、鼻元思案の知ったかぶりであります。『そんな莫迦なことがあるものか?』――現代人の大多数はそう言った安価な自己欺瞞で不徹底なその日暮らしをして居ます。本書が幾分でもこの精神的鎖国主義を打破するの役目を果し得ればまことに結構であります。

 乃で、皆様が若し一層進んで御研究をなさろうと思わば、是非もっと完全な書物に就きてお査べくださることを希望します。で、皆さまの御便宜の為めに左に適当と思わるる参考書を御紹介いたして置きます。――

 先ず日本物を紹介しますが、大震火災の為めに絶版となりたるもの多く、ソー沢山揃っていないのが誠に残念です。

心霊講座」 浅野和三郎著 (嵩山房 三円五十銭)

  (平易通俗にごく最近に至るまでの研究の結果を講述紹介したもの)

「死後の世界」 浅野和三郎訳(嵩山房 二円五十銭)

  (剣橋大学の講師ワアド学士の霊的体験の記録で近代類書中出色のもの)

「死とその神秘」 大沼十太郎訳(アルス 二円五十銭)

  (仏のフラマリオンの著、有力な心霊事実が満載されている)

「透視と其実例」 中尾良知著(大阪大石堂 一円八十銭)

  (著者自身の霊視能力活用の記録)

「霊魂不滅観」 下村孝太郎著(警醒社 二円)

  (宗教、哲学、科学の各方面から霊魂不滅を力説したもの)

ジュリアの音信」 吉田作弥訳(警醒社 一円五十銭)

  (有名なステッドの自動書記の産物)

「近代心霊学」 平田元吉著(京都人文書院二円三十銭)

  (頗る忠実に発達の径路を書いてある)

岩間山人と三尺坊」 浅野和三郎編(嵩山房 八十銭)

  (日本に於ける二大心霊事実の記録)

「幽冥界研究資料」 友清 歓真編(天行居)

  (孝安物語その他日本固有の霊的事実の蒐聚)

次ぎに西洋物の粋を抜きて御紹介します。これは又余り沢山なので選択に骨が折れます。

概論的のものでは――

The Facts of Psychic Science and Philosophy. By Campbell Holms. (Kegan Paul)

  (類書中で最も完全、一種のエンサイクロピデイアです)

Man’s Survival After Death. By Rev. C. Tweedale  (Grant Richards)

  (甚だ正直な記録で、バイブルとの連絡を講じている)

On the Threshold of the Unseen. By Sir W.Barrett (kegan Paul)

  (物理学の大家としての精緻なる研究)

まだ幾らでもありますが、この辺でとどめましょう。次ぎに部分的特殊的の研究では――

Photographing the Invisible. By J. Coates (Fowler.)

  (心霊写真に就きての標準本)

The Reality of Psychic Phenomena. By W. J. Crawford (Watkins)

Psychic Structures. By W. J. Crawford.(Watkins)

Experiments in Psychic Science. By W. J. Crawford (Watkins)

  (右三書何れも卓子浮揚の内面装置の研究として不朽のもの)

Materialization and Clairvoyancer.  (Fisber Unwin) By Dr. G. Geley

  (物質化現象に関する忠実な学者の研究、挿絵沢山)

Towards the Stars. By Dennis Bradley (Werner Laurie)

The Wisdom of the Gods. By Dennis Bradley (Do)

  (右二書直接談話現象の精細な記録)

Thirty Years Among the Dead. By Dr. Wickland (National Psychological Institute.)

  (憑霊現象の記録)

Man Visible and Invisible. By C. W. Leadbeater  (Theosophical Publishing House.)

  (霊視能力による人体裏面の研究、挿絵沢山)

The Projection of the Astral Body. By Mulden and Carrington (Ridar.)

  (幽体の霊的調査)

Spirit World and Spirit Life. By F. R. (Cosmos Pub. Co.)

  (自動書記の産物、幽界の規則の詳しき調査である)

しばらくこの辺で切り上げましょう。次ぎに霊界通信中の出色のもの数種を挙ぐれば

Gone West. By J. S. M. Ward (Rider)

A Subultern in Spirit-Land. By J. S. M. Ward. (Rider)

  (右二書共に主として自動書記の産物、前者は「死後の世界」の原本)

Letters from a Living Dead Man By Elsa Barker. (Rider)

  (自動書記の通信で、他界生活が或る程度髣髴される)

Spirit Teachings. By William Stainton Moses (London Spiritualist. Alliance)

  (近代心霊界に於ける是も権威ある自動書記の産物)

From Four who are Dead. By Mrs. Dawson Scott (Arrowsmith)

  (ステッド其他三人の死者からの有名な通信)

Is This Wilson ? By Mrs. Dawson Scott (Dutton, New York)

  (大統領ウイルソンの霊魂からの通信)

After Death. By W. T. Stead (Stead Pub. Honse)

  (いわゆるジュリアの通信)

Psychic Messages from Oscar Wilde. By Travers Smith. (Werner Laurie)

  (ワイルドの死後の通信)

次ぎに主としてスピリチュアリズムを取扱って居るものでは――

The History of Spiritualism, 2 Vols. By Conan Doyle (Cassel)

  (近代神霊主義の発達史、通俗的に書いてある)

There is no Death. By Florence Marryat.

  (「人は死せず」の原本)

Human Personarity and its Survival of Bodily Death. By F. W. H. Myers

(Longmans)

  (斯学の歴史的権威)

Psychical Reserch, Science and Religion. By Stanley De Brath (Methuen.)

  (是も穏健直截な主張)

Death and Its Mystery, 3 vols. By C. Flammarion. (The Century.)

  (実例豊富、死前、死の瞬間、死後に区分してある)

The Survival of Man. By Sir Oliver Lodge (Methuen)

  (学界の耆宿としての用意深き論断)

Spiritualism. By J. Arthur Hill. (Cassel)

  (まとまりのよき好参考書)

Here and Hereafter. BY Leon Denis (Rider)

  (熱烈なる神霊主義の力説)

最後に心霊研究に関する雑誌二三を紹介して置きます。日本物では――

「心霊と人生」 (横浜市鶴見東寺尾心霊科学研究会、一ヶ年二円四十銭)

  (月刊雑誌、発行以来八年になる。斯学に関する本邦唯一の機関である。主筆は著者

又西洋物では――

The Two Worlds. (18, Corporation st., Manchester)

  (週刊で非常に調法です。主筆はオーテン氏、年額十志十片です)

Light. (16, Queenthberry Place, London, S. W. 7)

  (これも週刊です。主筆はガウ氏、一ヶ年二十二志)

Psyeiric Seience. (The British College, 15, Queen’s Gate, London, S. W. 7)

  (年四回発行、間断なく有力な参考資料を提供します。年額十一志)

以上不完全ではありますが、真実に心霊問題の研究に入ろうとする方々に多少の手懸りになれば幸甚であります。


底本:「心霊文庫第一篇 心霊研究之栞」 

著者: 浅野和三郎

発行:心霊科学研究会

1930(昭和5)年06月10日初版

1936(昭和11)年11月1日5版

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に準拠して、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ PHPファイル化に際して、底本のルビを取り除き、底本中のゴシック表記を斜線表記、傍点表記を下線表記に、白丸傍点表記を強調表記に置き換えました。

※ ルビ付き版はこちらです。


資料提供: 思抱学人

入力: いさお

2008年5月20日公開


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小桜姫物語について

「小桜姫物語」の再編集完了。

1、ルビなしのPHP化により携帯電話での表示が可能になり、キーワード検索が容易になりました。
2、HTML版は、従来誤字の修正点が未掲載だったものをバルーンヘルプにて誤字の修正点が解るようにし、底本の状態に近づけました。
3、CSSを変更して、HTMLのルビが、IE以外のブラウザでも表示出来るようにしました。

 今後、他のページも同様に再編集して行きます。

次は「新樹の通信」の再編集を行ないますが、9月1日から9月10日まで、私事多忙につき更新おやすみ。