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67、神と人との仲介

2010/08/21

 以上のべたところで一と通り話の筋道だけはお判りになったことと存じます。神に祀られたといえば、ちょっと大変なことのように思われましょうが、内容は決してそれほどのことではないのでございまして……。

 大体日本の言葉が、肉眼に見えないものを悉く神と言って了うから、甚だまぎらわしいのでございます。神という一字の中には飛んでもない階段があるのでございます。諺にも上には上とやら、一つの神界の上には更に一だん高い神界があり、その又上にも一層奥の神界があると言った塩梅に、どこまで行っても際限がないらしいのでございます。現在の私どもの境涯からいえば、最高のところは矢張り昔から教えられて居るとおり、天照大御神様の知しめす高天原の神界――それが事実上の宇宙の神界なのでございます。そこまでは、一心不乱になって統一をやればどうやら私どもにも接近されぬでもありませぬが、それから奥はとても私どもの力量には及びませぬ。指導役のお爺さんに伺って見ましても、あまり要領は獲られませぬ……。つまり無い訳ではないが、限りある器量ではどうにもしょうがないのでございましょう。

 高天原の神界から一段降ったところが、取りも直さずわれわれの住む大地の神界で、ここに君臨遊ばすのが、申すまでもなく皇孫命様にあらせられます。ここになるとずっとわれわれとの距離が近いとでも申しましょうか、御祈願をこむれば直接神様からお指図を受けることもでき、又そう骨折らずにお神姿を拝むこともできます――。尤もこれは幾らか修行が積んでからの事で、最初こちらへ参ったばかりの時は、何が何やら腑に落ちぬことばかり、恥かしながら皇孫命様があらゆる神々を統率遊ばす、真の中心の御方であることさえも存じませんでした。『幽明交通の途が杜絶ているせいか、近頃の人間はまるきり駄目じゃ……。昔の人間にはそれ位のことがよく判っていたものじゃが……。』――指導役のお爺さんからそう言ってさんざんお叱りを受けたような次第でございました。私達でさえ、すでにこれなのでございますから、現世の方々が戸惑いをなさるのも或は無理からぬことかも知れませぬ。これは矢張りお爺さんの言われる通り、この際、大いに奮発して霊界との交通を盛んにする必要がございましょう。それさえできれば斯んなことは造作もなく判ることなのでございますから……。

 今更申上ぐるまでもなく、皇孫命様をはじめ奉り、直接そのお指図の下にお働き遊ばす方々は何れも活神様……つまり最初からこちらの世界に活き通しの自然霊でございます。産土の神々は申すに及ばず、八幡様でも、住吉様でも、但しは又弁財天様のような方々でも、その御本体は悉くそうでないものはございませぬ。つまるところここまでが、真正の意味の神様なので、私どものように帰幽後神として祀られるのは真正の神ではありませぬ。ただ神界に籍を置いているという丈で……。尤も中には随分修行の積んた、お立派な方々もないではありませぬが、しかし、どんなに優れていても人霊は矢張り人霊だけのことしかできはしませぬ。一つ口に申したら、真正の神様と人間との中間に立ちてお取次ぎの役目をつとめるのが人霊の仕事――。まあそれ位に考えて戴けば、大体宜しいかと存じます。少くとも私のような未熟なものにできますことは、やっとそれだけでございます。神社に祀られたからと申して、矢鱈に六ヶしい問題などを私のところにお持込みになられることは固く御辞退いたします。精一ぱいお取次ぎはいたしますが、私などの力量で何一つできものでございましょうか……。


底本:「霊界通信 小桜姫物語」 潮文社

1998(平成10)年07月31日第九刷発行
底本の親本は心霊科学研究会出版部
1937(昭和12)年02月発行

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、底本中の傍点表記を、下線表記に置き換えました。

※ 底本で使われている「面区点2-12-11 (U+2231E)」]の文字は、辞書によっては異体字として扱われていない「廻」で置き換えています。

※ PHP化に際して、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、斜字に置き換えました。また、底本中のルビは割愛しました。

※ ルビ付き版はこちらです。


入力者: 泉美

かな修正: いさお


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小桜姫物語について

「小桜姫物語」の再編集完了。

1、ルビなしのPHP化により携帯電話での表示が可能になり、キーワード検索が容易になりました。
2、HTML版は、従来誤字の修正点が未掲載だったものをバルーンヘルプにて誤字の修正点が解るようにし、底本の状態に近づけました。
3、CSSを変更して、HTMLのルビが、IE以外のブラウザでも表示出来るようにしました。

 今後、他のページも同様に再編集して行きます。

次は「新樹の通信」の再編集を行ないますが、9月1日から9月10日まで、私事多忙につき更新おやすみ。