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46、龍神の生活

2010/07/31

 私はひるまず質問をつづけました。――

問 『龍神にも人間のように死ぬことがございますか?』

答 『人間界にて考えているような、所謂死というものはもちろんない。あれは物質の世界のみに起る、一つのうるさい手続なのじゃ。――が、龍神の躯にも一つの変化が起るのは事実である。そなたも知る蛇の脱殻――丁度あれに似た薄い薄い皮が、龍神の躯から脱けて落ちるのじゃ。龍神は通例しッとりした沼地のような所でその皮を脱ぎすてる……。』

問 『龍神さんの分霊が人体に宿ることは、今日では絶対に無いのでございますか?』

答 『龍神の分霊が直接人体に宿って、人間として生れるということは絶対にないと言ってよい……。が、一人の幼児が母胎に宿った時に、同一系統の龍神がその幼児の守護霊又は司配霊として働くことは決して珍らしいことでもない。それが龍神として大切な修業の一つでもあるのじゃ……。』

問 『龍神にも成年期がございますか。』

答 『それはある。龍神とて修行を積まねば一人前にはなれない……。』

問 『大体成年期は何歳位でございますか?』

答 『これはいかにも無理な質問じゃ。本来こちらの世界に年齢はないのじゃから……。が、人間の年齢に直して見たら、はっきりとは判らぬが、凡そ五六百年位のところであろうか……。』

問 『矢張り人間のように婚礼の式などもございますもので……。』

答 『人間界の儀式とは異うが、矢張り夫婦になる時には定まった礼儀があり、そして上の龍神様からのお指図を受ける……。』

問 『矢張り一夫一婦が規則でございますか?』

答 『無論それが規則じゃ。修行の積んだ、高い龍神となれば、決してこの規律に背くようなことはせぬ。しかし乍ら霊格の低い龍神の間にはそうのみも言われぬ節がある……。』

問 『生れるのは矢張り一体づつでございますか?』

答 『一体が普通じゃ、双生児などはめったにない……。』

問 『お産ということもありますもので……。』

答 『妊娠する以上お産もある。その際、女性の龍神は大抵どこかに姿を隠すもので……。』

問 『一対の夫婦の間に生れる子供の数はどれ位でございましょうか?』

答 『それは判らぬ。通例よほど沢山で、幾人と勘定はしかねるのじゃ。』

問 『年齢を取れば矢張り子供を生まぬようになるものでございますか?』

答 『年齢を取るからではない、浄化するから子供を生まぬようになるのじゃ……。』

問 『浄化したのと、浄化しないのとの区別は、何うして見分けられますか? 矢張り色でございますか?』

答 『左様、色で一番よく判る。最初生れたての龍神は皆茶ッぽい色をして居る。その次ぎは黒、その黒味が次第に薄れて消炭色になり、そして蒼味が加わって来る。そなたも知る通り、多く見受ける龍神は大てい蒼黒い色をして居るであろうが……。それが一段向上すると浅黄色になり、更に又向上すると、あらゆる色が薄らいで了って、何ともいえぬ神々しい純白色になって来る。白龍になるのには大へんな修行、大へんな年代を重ねねばならぬ……。』

問 『夫婦になるのは大ていどの辺の色でございますか?』

答 『色には拠らぬ。黒は黒同志で夫婦になり、そしていつまで経っても黒が脱けないのも少くない……。』

問 『男女の区別は主に何処で判りますか?』

答 『角が一番の目標じゃ。角のあるのは男、角のないのは女……。』

問 『夫婦の龍神は矢張り同棲するものでございますか?』

答 『龍神にとりて、一緒に棲む、棲まぬは問題でない。龍神の生活は自由自在、人間のように少しも場所などには縛られない。』

問 『生れたばかりの子供は何うして居りまするか?』

答 『しばらくは母親の手元に置かれるが、やがて修業場の方で引取るのじゃ。』

問 『何ういう訳で池を修行場にしてあるのでございますか?』

答 『池は一種の行場じゃ。人間界の御禊と同じく、水で浄められる意味にもなって居るのでナ……。』


底本:「霊界通信 小桜姫物語」 潮文社

1998(平成10)年07月31日第九刷発行
底本の親本は心霊科学研究会出版部
1937(昭和12)年02月発行

※ 青空文庫の「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の旧字表記をあらためました。

※ 底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※ また、HTML化に際して、底本中の傍点表記を、下線表記に置き換えました。

※ 底本で使われている「面区点2-12-11 (U+2231E)」]の文字は、辞書によっては異体字として扱われていない「廻」で置き換えています。

※ PHP化に際して、底本中の傍点表記を、下線表記に、白丸傍点表記を、斜字に置き換えました。また、底本中のルビは割愛しました。

※ ルビ付き版はこちらです。


入力者: 泉美

かな修正: いさお


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小桜姫物語について

「小桜姫物語」の再編集完了。

1、ルビなしのPHP化により携帯電話での表示が可能になり、キーワード検索が容易になりました。
2、HTML版は、従来誤字の修正点が未掲載だったものをバルーンヘルプにて誤字の修正点が解るようにし、底本の状態に近づけました。
3、CSSを変更して、HTMLのルビが、IE以外のブラウザでも表示出来るようにしました。

 今後、他のページも同様に再編集して行きます。

次は「新樹の通信」の再編集を行ないますが、9月1日から9月10日まで、私事多忙につき更新おやすみ。